今週の注目点…利下げ幅や単発or連続利下げの見極めへ
米国株高が続くかも注目
パウエル「ジャクソンホール発言」を受けて、9月FOMCでの利下げの可能性は高まったでしょう。ただしその利下げ幅はどうなるか、またそれは単発の利下げかそれとも連続利下げの始まりなのかなど「利下げストーリー」は、今後の米経済指標発表の結果や株価などで見極めていくことになるでしょう。
大きなヤマは、9月第1週の雇用統計発表になりそうですが、今週発表されるFRBが注目するインフレ指標のPCEコアデフレータも注目されることになりそうです。
米ドル/円は、すでに3週間も続いている146円半ば~148円半ば中心のレンジ・ブレークに注目しています。これまで述べてきた日米金利差縮小の可能性や、ヘッジFの円売り変化の兆しなどを根拠に、基本的には米ドル安・円高方向へのブレークを予想します。そのなかでもなか1つ鍵を握るのは米国株の動向かもしれません。
米ドル/円の今週の予想レンジは145~148.5円
米国株は、パウエル議長の「タカ派」を警戒し先週続落する場面もありましたが、22日は「ハト派」との受け止め方から急反発に転じました。パウエル発言直後に急落した米ドル/円がその後下げ渋ったのはこの米国株急反発も一因だったのではないでしょうか。
8月1日、米雇用統計発表をきっかけに米ドル/円が約3円も急落、「雇用統計ショック」と呼ばれた動きは米国株も急落したなかでの出来事でした。以上から、米国株高が続いた場合は米ドル/円下落の歯止め役になる可能性がある一方、米国株が下落に転じた場合は米ドル/円も下落に向かいやすくなるのではないでしょうか。
その米国株は、NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価が2000年ITバブルを上回る割高になるなど、テクニカルには「バブル」の懸念もあります(図表5参照)。
そういったなかでも早期利下げ再開などを手掛かりに米国株高が続くか否かは、米ドル安・円高の行方を左右する1つの鍵ではないでしょうか。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は145~148.5円で予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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