(※写真はイメージです/PIXTA)

車社会のハワイでは、観光でもレンタカーやタクシー、バスの利用が欠かせません。そんな中、新たな移動手段として注目されているのが、2023年夏に開業した完全自動運転の鉄道『スカイライン』。すでに9駅が開通しており、最終的にはホノルル空港からアラモアナ・センター付近まで全19駅を結ぶ計画です。この鉄道は、日本人観光客や不動産所有者・投資家にどのような影響をもたらすのでしょうか。株式会社Crossover Internationalの栗原なな氏が詳しく解説します。

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ハワイで進行中の鉄道プロジェクト「スカイライン」

日本とアメリカの大きな違いの一つに、公共交通機関の整備状況が挙げられます。ハワイもその例外ではなく、観光や生活を送る上で車がないと不便な面があるのが現状です。

 

これまでホノルル市内での移動手段といえば、レンタカーやタクシー、バス、観光客向けのトロリーが主流でしたが、近年、新たな選択肢として注目を集めているのが「スカイライン」と呼ばれる鉄道プロジェクトです。

 

このプロジェクトは、オアフ島西部から東部にかけて走る高架式鉄道路線を整備するもので、最終的にはダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル空港)からアラモアナ・センター付近までを結ぶ計画です。総延長は約32km、全19駅の設置が予定されており、ホノルル市の交通インフラ、そして現地での滞在利便性を大きく変えるプロジェクトといえるでしょう。

 

今回は、プロジェクトの概要に加え、今後の鉄道開通が日本人観光客と現地に滞在する不動産所有者の双方に与える影響についても見ていきます。

プロジェクト概要と現在の進捗について

高架式自動運転鉄道「スカイライン」は、ホノルル市最大級の公共インフラ整備であり、アメリカ本土でも珍しい完全自動運転鉄道です。計画・設計・施工はHonolulu Authority for Rapid Transportation(HART)が担い、運行はHitachi Rail、運営はホノルル交通局が担当します。

 

オアフ島の東西を結ぶ主要交通軸では、通勤や通学に支障をきたすほどの渋滞が日常的に発生しており、本プロジェクトはその混雑緩和と車利用削減による環境・エネルギー効果を目的としています。また、車を持たない観光客や地元住民に新たな移動手段を提供し、経済活性化にも寄与することが期待されています。

 

スカイラインはすでに第1期区間と呼ばれる、オアフ島西部のカポレイからアロハ・スタジアムの間を結ぶ9駅分が開通しており、通勤・通学を中心に地元住民の利用が始まっています。

 

出典:City and County of Honolulu(https://www.honolulu.gov/dts/skyline/home/)
【図表】スカイライン路線図 出典:City and County of Honolulu(https://www.honolulu.gov/dts/skyline/home/
 

第2期区間であるアロハ・スタジアムからホノルル国際空港までの区間も、現在ほぼ完成に近づいており、空港に鉄道駅が開設されれば、観光客への認知度は一気に高まることでしょう。

 

また、今月からは第3期区間の工事が開始予定で、ダウンタウンやチャイナタウンを含むエリアで駅の建設が始まります。これらのエリアは、歴史的建造物やローカルグルメの名店が集まる人気観光地であり、完成後は観光ルートの選択肢が大幅に広がると考えられます。

 

このように、段階的な延伸を経て、最終的には2031年の全線開通が目標とされています。

 

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