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7年後のゴールに向かって構想を固める
「不」「課題」「お財布」をクリアした新規事業のアイデアは、次の段階では、この新規事業の成功に向かって、どのような段階を踏んでいくのかを長期的に検討します。新規事業の成功は自社の中核事業となることです。ゴールを7年後に据えて、当初の3年間、次の2年間、そして仕上げの2年間という3つのフェーズに分けて「事業の状況」「定性的な効果や影響」「販売数や売上」を現時点で想定できる範囲で計画していきます。
厳密な計画である必要はありません。事業構想段階で7年後がイメージできない場合は、「不」「課題」「お財布」のいずれかに、「広がり」や「普遍性」がないケースが多くあり、このワークは重要なチェックポイントになります。
当初の企画はどう発展しているのか、効果や影響はどうか、どのような結果が得られているのか、それを当初の3年、次の2年、そして6年目と7年目というように区切って、それぞれを想定してもらうようにしています。もちろん、精緻な数値予測は難しいです。7年間の詳細な計画を立てることが目的ではなく、事業構想時点で、検討している新規事業の事業構想が7年後には中核事業として成長できるかを想像し、その姿をイメージしていきます。
初めてこのワークを行う新規事業開発の担当者の多くは、7年後も規模の小さいイメージしか出てきません。それを引き上げる議論をします。7年後には、この新規事業はどのような姿になっていて、どのような「お財布」からお金をもらえているのか、7年後の新規事業の姿をイメージすることで、事業の構想段階から、強い骨格をつくっていきます。
「7年後」を日常生活で意識することはほとんどありません。
ビジネスの世界でも多くの企業の中期計画は3カ年程度で、長くても5カ年程度です。多くの既存事業では、四半期や半期、1年で細かく数字をチェックするのが当たり前となっています。これらの計数管理に慣れた経営陣や既存事業部門から考えれば、7年後を考える機会は、かなり稀だと思います。日常生活でも、私たちが意識するのはせいぜい来年、再来年までだと思います。7年という物差しでものを見ることはまずありません。
ただ、私の経験上、新規事業を中核事業の一つに育てるまでには、7年の時間を見る必要があると思います。そして、7年は、実は決して長くありません。
新規事業の事業構想から立ち上げ、プロトタイプを回せるようになるまでに1年から3年の時間がかかり、ここで軌道に乗ってきた新規事業は、そのあとの4年から6年くらいは安定的に成長していきますが、この期間で大きく飛躍するチャンスが到来します。このチャンスをつかんだ新規事業が、7年目くらいに既存事業部門に引き渡されて、ようやく新規事業から中核事業へ変わってくる、というのが新規事業の成功シナリオです。
既存の事業部門に引き渡し、既存事業と同じ売上・利益をKPIとした事業マネジメントを行うことが、事業をさらに成長させていくことになります。新規事業部門から既存事業部門に事業運営をバトンタッチしていくときが新規事業開発のゴールです。
このように7年はあっという間に過ぎていきます。新規事業は事業構想段階から7年というスパンで描けることが重要です。


