(※写真はイメージです/PIXTA)

お盆休みにあわせ、久しぶりに実家へ帰省する人も多いこの季節。親の顔を見て安心したい、少しは力になりたい——そんな思いで訪ねたつもりが、予想に反する状況に戸惑うケースも。ある50代夫婦の事例から、親子の距離感や考え方の相違について考察します。

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50代部長、高齢母の電話に感じ取った「不穏な空気」

「独り暮らしの母親から、久しぶりに電話がかかってくるもんだから、なにかあったんだと思うじゃないですか…」

 

そういって頭を抱えるのは、都内の中堅企業で部長職を務める佐藤誠さん(53歳・仮名)です。静岡県出身の誠さんは、都内の大学に進学し、そのまま都内の企業に就職。それ以来、実家には数年おきにしか帰っていません。

 

一方、3歳年上の誠さんの姉・典子さんは、中学校の同級生と結婚後、実家近くに暮らしています。そのため必然的に、両親の世話は姉に一任しているような状況です。

 

「父が亡くなって7年。気づけば、独り暮らしになった母のことは姉に任せっぱなしで…。申し訳ないと思いつつ、両親も姉を頼っているみたいだし、弟の僕はなんとなく距離を保ったままここまで来てしまいました」

 

ところが、8月上旬の夜、珍しく誠さんのスマホに母・美代子さん(78歳・仮名)から電話がかかってきました。

 

「もしもし、誠ちゃん?…この夏は帰ってこれる?」

 

母親の口調は、いつになく気弱な印象です。

 

誠「えっ、急にどうしたの? なにかあった?」

美代子「いやあね、久しぶりに声が聞きたくて…」

 

誠「…それだけ? 大丈夫なの?」

美代子「ううん、なんにもないのよお。でも、ちょっとね、相談したいことがね…」

 

誠さんは、母親の口調からなんとなく不穏な空気を感じました。そこで、妻・由美さん(51歳・仮名)に相談することにしました。

 

誠「おふくろの様子がなんだかおかしくて。ちょっと様子を見に行きたいんだが…。高齢だし、もしかしたら不安なことや相談したいことがあるのかも…」

由美「それは心配ね。しばらくお会いしてないし、私もいっしょに行く」

 

IT企業の中間管理職で、誠さん以上に多忙な毎日を送る由美さんも、話を聞いて心配そうです。夫婦は有給休暇を合わせて取得し、数年ぶりに帰省することにしました。

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