「払えない」の裏にある“つい後回し”の連鎖
「封筒が届いたときは、怖くなって開けられませんでした」
そう語るのは、東京都内に住むフリーランスの女性・矢野佳菜子さん(仮名・31歳)。20代後半に会社員を退職し、以後はデザイン関係の仕事を個人で請け負っています。
「収入に波があって、月2万円近い保険料が重荷だったんです。“そのうち払おう”と思っていたのに、気づけば2年以上納付していなくて…。ある日、赤い封筒が届いて、これはまずいと慌てて電話しました」
届いたのは、「最終催告状」と呼ばれる書類。これが送付された段階では、すでに通常の納付通知、文書催告などを経た末の“最終段階”にあたります。
最終催告状を無視すると、次に届くのが「督促状」。これは、法的に「支払い義務があることを確定させる文書」です。この段階を超えると、預金口座や給与などへの差押えが執行される可能性があります。
厚生労働省や日本年金機構の資料によると、以下のようなステップで進行します。
通常の納付書送付
文書による催告
最終催告状の送付(赤い封筒)
督促状(支払督促)送付
差押えの執行(預金・不動産・給与等)
日本年金機構が公表した『国民年金保険料強制徴収の実施状況(令和7年度9月末時点)』によると、最終催告状は99,260件、督促状は60,242件送付され、実際に11,252件の差押えが執行されています。
重要なのは、“払えない”こと自体が問題なのではない、という点です。収入が不安定、生活が苦しい――そんな人のために、制度はきちんと用意されています。
●保険料免除制度:所得状況に応じて全額~一部が免除される
●納付猶予制度:50歳未満で所得が一定以下の人が対象
●学生納付特例制度:学生は申請により納付猶予が可能
「何もせずに放置」が最大のリスクなのです。実際、矢野さんも相談後に「過去分の一部免除+分割納付」という形で解決の道を見出すことができました。
