(画像はイメージです/PIXTA)

世界的に富裕層の「国外脱出」が加速しています。重税政策や相続税強化を背景に、自国にとどまることのリスクを感じた資産家たちは、より有利な税制や生活環境を求めて新天地を目指しています。なかでも英国では、長年富裕層を惹きつけてきた「ノンドム制度」の廃止が、大きな転換点となりました。その余波は他国にも波及しており、日本の富裕層にも新たな動きが広がりつつあります。

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富裕層の国外脱出

英国から富裕層の国外脱出が止まりません。なかでも注目を集めているのが、世界有数の世襲資産家であるフレデリック・メドウス氏が、長年居住していた英国を離れ、母国ベルギーへ移住したというニュースです。また、エジプト出身の大富豪ナセル・サウィルス氏も英国を後にしました。

 

こうした「富の脱出」を加速させた最大の要因は、2025年7月5日に廃止された非永住者向けの優遇税制「ノンドム(Non-Dom)」制度です。この制度は1799年に創設され、長年にわたり英国に富裕層を呼び込む柱となってきました。制度の恩恵を受けていたノンドム該当者は7万5,000人に上り、英国政府に年間80億ポンド(約1兆5,000億円)もの税収をもたらしていました。

 

ノンドム制度の廃止により、今後10年間で英国は1,110億ポンド(約20兆円)の税収を失う可能性があると試算されています。Bloombergも「Going, Going, Gone: UK Non-Dom Exit Quickens After Tax Perk Ends(英国のノンドム離脱加速)」という見出しで大きく報じました。

税負担から逃れる世界の富裕層…流出先は?

英国のHenley & Partnersによると、2023年に税金を理由に母国を離れた高額資産保有者(HNWI:High Net Worth Individual)は、世界全体で14万人に達しました。そのうち英国からの流出は9,500人と最多で、これまで1位だった中国を初めて上回りました。

 

移住先として特に人気が高いのは、相続税のないイタリアやドバイです。続いて、オーストラリア、シンガポール、スイス、カナダなど、民主主義と安定した経済を併せ持つ国々が選ばれています。
 

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