アパートの掃除もしんどいんです…父の遺産「5億円の不動産」を相続した60代姉妹が頭を悩ますワケ「ダメだ、このままじゃ」【相続の専門家が解説】

アパートの掃除もしんどいんです…父の遺産「5億円の不動産」を相続した60代姉妹が頭を悩ますワケ「ダメだ、このままじゃ」【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

祖父の代から続く賃貸経営を受け継ぎ、姉妹で資産管理会社を運営してきた由美子さん。相続手続きはスムーズに進んだものの、次は自分たちの代の承継をどう進めるかが課題に。孫世代への引き継ぎ、会社の今後、税務対策――複雑化する選択肢のなかで最良の方法を見つけるにはどうすればいいのでしょうか。相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続 代表取締役)が解説します。

今後の主な課題 子どもたちは経営できるか?

自分の相続はまだ先だとしても、いつ、なにがあるかわかりません。急なことになってもいいようにしておく必要があります。また、相続になる前に時間をかけて解決しておくことも必要です。

 

そこで、由美子さんから「相続プラン」の委託をいただき、現状分析、課題の提示、課題解決策の提案の順に整理して、提案しました。

 

これまでの経緯は、以下のとおりです。

・父親の生前に「資産管理会社」を設立し、娘2人が中心となってリフォームなどの管理業務を実施

・父親の死後、現在は娘2人(いずれも60代)が会社を引き継ぎ、資産管理を継続

・娘たちにはそれぞれ2人ずつ子どもがいて、計4人の孫(娘にとっては子ども)がいる

・現在は、その孫世代への資産の承継や分配、今後の管理方針について悩んでいる状況

今後の課題としては、以下の点が挙げられます。

1.娘2人の高齢化により、次世代(孫世代)への承継計画を早急に進める必要がある

2.孫が4人いるが、株式や資産をどのように公平かつ効率的に承継させるかが課題

3.資産管理会社をこのまま継続すべきか、あるいは清算すべきかの判断が求められている

4.相続税・贈与税・法人税といった税務の問題が複雑化しており、適切な対応が必要

 

解決策(ステップごとの提案)

課題ごとの解決策を

【ステップ1】株主構成と事業承継方針の確認・整理

・現在の資産管理会社の株主比率・名義を明確化

・娘2人が均等保有なら →孫世代にどう分けるか(例:信託・持株会社)を設計

・株式の一部を孫世代に贈与 or 遺言信託で承継させる選択肢も視野に

 

【ステップ2】将来的な「運用方針の統一」と「合意形成」

・家族会議(資産管理会社の現状・収益・負債・契約状況)を孫世代にも共有

・会社として「賃貸運営を続ける」か「清算・売却も選択肢に含める」か、意思統一

・必要に応じて、ファミリートラスト(家族信託)や定款変更を検討

 

【ステップ3】税務と法務のコンサルチームを組成

・相続税・法人税・不動産譲渡に詳しい税理士・司法書士・相続実務士®を連携

・将来の「法人株式の評価額」「納税原資」「分割方針」をシミュレーション

・会社を継続するなら「議決権の整理・収益分配の明確化」が重要

まとめ

由美子さんは妹と2人で運営してきた資産管理会社について、これからは別々に運営するなど、今のうちから分ける必要があると認識されたようです。

 

今までは姉妹仲良く運営して来られましたが、これからのことを考えるとそうはいかないと感じていると言います。特にに自分たちの相続になり、自分の子どもや甥・姪が運営することを考えると、運営者が4人になることからすでに難しくなります。よってまずはきょうだい個々の財産にして、それぞれ別に会社を運営するのか、あるいは会社は解散して個人経営にするのか、選ぶ必要があります。

 

私は相続プランの提案の中で選択肢を用意し、家族で話し合っていただいて、最良の方法を選択していただくよう説明しました。

 

由美子さんはこれから少し時間をかけて話し合って、円満な方法を選んでいくとのことです。方向性が見えて少し気持ちは楽になったと言っていました。

 

 

 

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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