アパートの掃除もしんどいんです…父の遺産「5億円の不動産」を相続した60代姉妹が頭を悩ますワケ「ダメだ、このままじゃ」【相続の専門家が解説】

代々の土地を生かした賃貸経営が家業

由美子さん（60代・女性）は、父親から土地などの財産を相続し、妹（同じく60代）とともに資産管理会社を運営しています。

父親の遺産は約5億円相当ですが、その大部分が不動産です。もともと祖父の代から賃貸事業を営んでおり、相続した土地の多くには、賃貸アパートやマンションが5棟建てられていて、現在も運営を続けています。

由美子さんが暮らすエリアには大学があり、物件はすべて学生向けのワンルームタイプですが、ほぼ満室状態で、賃貸事業は順調に推移しています。

相続については、日頃から家族内で話し合いを重ねてきたこともあり、父親がその内容を反映した公正証書遺言を残してくれていたため、手続きは非常にスムーズに進んだそうです。

ただ、由美子さんが悩んでいるのはこれからのことであり、その相談のために来られました。

資産管理会社はどうする？

由美子さんと妹は20代の頃は会社勤めをしていた時期もありましたが、両親が50代になり、賃貸管理が大変になる前にと、娘2人で引き継ぎ、会社を作って運営してきたと言います。

由美子さんの資産は、父親から相続した不動産が主で、総額約5億円ですが、アパートの建築費と土地を購入して建てた賃貸マンションの借り入れがあり、半分は返済しましたが、まだ3.5億円。しかし、父親の相続税は財産総額から借り入れを引くことができたため、相続税はそれほどかからず、不動産対策が功をなしたといえます。

由美子さんの相談はこれから自分の相続のことを考えないといけないが、一番気になっているのが資産管理会社だと言います。

きょうだい経営をしてきた

賃貸アパートは祖父の相続対策として建てたもので両親が管理してきた姿は見てきました。毎日のようにアパートのごみ置き場や廊下や外回りの清掃に行き、空室になればリフォームの手配やクリーニングは両親が自分たちでしていました。

清掃はほぼ毎日していましたので、妹と2人で協力することにして、会社を設立しました。アパートの1室を事務所にして、毎日、仕事をしてきました。

アパートもマンションも入れ替わりはありますが、ほぼ満室で、賃貸事業は順調です。けれども、由美子さんも妹も60代になり、父親も亡くなり、このままでいいのかと考え始めたと言います。清掃やクリーニングがだんだん大変になってきたこともあります。