200年の歴史を誇る実家を一人で守り続けた女性
吉田夏美さん(仮名)は、千葉県に住む71歳女性。彼女の実家は、なんと200年前から続く先祖代々の家です。地域の歴史とも深く結びついた家ですが、現在は誰も住んでおらず、管理だけが続いています。
夏美さんの収入は、月13万円の年金がすべて。慎ましく暮らしていても、決して余裕のある生活ではありません。そのなかで、誰も住まない実家の維持費が重くのしかかります。
「この家をどうしたらいいのか……」夏美さんは悩みます。子どもは都会で暮らし、将来的に戻る予定はありません。家を残すべきか、手放すべきか、代々受け継がれてきた家だからこその葛藤です。
家を継ぐ・継がない問題
長男が家を継ぎ、お墓を守り、家族の歴史を引き継ぐのが当たり前だった時代。かつての日本では、「家」は代々受け継ぐものでした。家は「家族が住むから残す」が共通認識だったことでしょう。
しかし、少子高齢化・核家族化が進むなか、家やお墓をめぐる価値観が大きく変わりつつあります。現代では「誰も住まない家をどうするか」が課題になっています。空き家をそのままにすると、固定資産税や維持費がかかるだけでなく、防犯や近隣トラブルのリスクも。最近では、「無理に残さず、子世代のライフスタイルに合わせて整理する」という選択肢も増えてきました。家を継がないことは決して「親不孝」ではありません。
むしろ、親世代のうちに「誰が、どう使うか」を話し合い、売却や賃貸活用などを検討しておくことが、家族の負担を減らすことにも繋がります。
