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ガソリン税の国際比較~米国のガソリンが安い理由~
日本ではガソリン価格の上昇が続き、家計への打撃や政府への批判の声が高まっています。しかし、果たして日本のガソリン価格や税負担は世界的に見て本当に高いのでしょうか。OECDの国際比較データをもとに、日本の位置づけを確認しつつ、ガソリン価格が際立って安いことで知られる米国の背景事情を探ります。産油国という地理的優位性だけでなく、増税に慎重な政治姿勢や国民感情が、その“安さ”を支えているのです。
日本ではガソリン価格の上昇が話題となり、政府に対する批判も見られます。では、世界各国と比較して、日本のガソリン価格や税負担は高いのでしょうか。
日本のガソリン税負担の位置づけ
OECDは加盟35ヵ国における、2022年第3四半期時点のガソリン1リットルあたりの価格と税負担の比較データを公表しています。価格には為替の影響があるため、各国の税負担率(価格に占める税金の割合)で比較すると、日本は35か国中24位。つまり、税負担は中間よりやや低めの位置にあります。
税負担率が最も高いのはフランス(55.7%)、次いでイタリア(55.3%)、オランダ(54.9%)、ドイツ(54.4%)と続きます。日本の税負担率は42.3%です。
税負担が軽い国は?
同じOECD資料によると、税負担が最も軽いのは米国(12.9%)です。10%台の国は他に存在せず、20%台の国では、オーストラリア(21.1%)、カナダ(26.5%)、トルコ(27.0%)が上位に位置します。
米国のガソリンが安い背景
米国のガソリン価格が安い最大の理由は、自国内で石油を産出・調達できる産油国である点です。輸送費などの間接コストが少なく、価格に反映されにくい構造となっています。
また、ガソリンスタンドのセルフサービス化が進んでおり、人件費を抑えられていることも価格低下に寄与しています。かつて米国車は大型で燃費が悪く、日本車が燃費の良さで人気を得たのも、このガソリン価格構造が背景にあります。
地球温暖化対策とガソリン税:米国の姿勢
地球温暖化対策として、多くの国が炭素税(カーボンタックス)などを導入していますが、米国の対応は消極的でした。
1997年の京都議定書では、温室効果ガスの排出削減目標が定められました。米国は交渉には参加したものの、議定書の国内承認手続きを行わず、最終的には批准しませんでした。
また、2015年のパリ協定(COP21)からは、トランプ政権下の2020年11月に離脱しましたが、バイデン政権により復帰しています。
米国が燃料課税に消極的な理由
米国が温室効果ガス排出に関わる燃料課税に消極的な背景には、国内政治と国民感情があります。
ブッシュ政権(1989~1993年)は、前任のレーガン政権から赤字財政を引き継ぎ、さらに湾岸戦争により財政赤字が悪化しました。後任のクリントン政権(1993~2001年)は財政再建に取り組み、その一環として「英国熱量税(BTU税)」という、炭素排出に連動した新税導入を構想しました。
しかし、この新税案は寒冷地に住む人々から「暖房が使えず凍死する」といった強い反発を受け、上院ではほぼ全員が反対。この失敗は、以後の政権にとって燃料増税=政権リスクというトラウマを残しました。
このような経緯から、米国では燃料に対する増税が非常に困難であり、これがガソリン価格の低さを支える要因のひとつとなっているのです。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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