米国税制改正案から『899条』削除…“報復課税”の行方と国際協調【国際税理士が解説】

米国税制改正案から『899条』削除…“報復課税”の行方と国際協調【国際税理士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

国際課税をめぐる摩擦が高まるなか、アメリカの税制改正案に盛り込まれていた「内国歳入法899条」が波紋を広げていました。この条項は、外国の課税制度がアメリカ企業に不利だと判断した場合、当該国の居住者に追加課税を課すという“報復的”な内容となっています。日本を含む主要経済国が対象とされ、国際的な緊張を高めていました。しかし、外国資本の離反や市場への悪影響を懸念する声を受け、同条項は最終的に撤回されることになりました。

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トランプ税制案に盛り込まれた「899条」とは

トランプ前大統領が打ち出した税制改正案「One Big Beautiful Bill」に盛り込まれていた、内国歳入法899条が世界各国に波紋を広げました。

 

この条項は、アメリカが「不公正な課税制度を設けている」と判断した国の居住者に対して、段階的に追加課税を行うというもので、国際的な課税秩序に大きな影響を及ぼす内容でした。

最大20%の追加源泉税も

899条では、UTPR(所得に基づく課税の残余配分ルール)やDST(デジタルサービス税)を導入している国の居住者に対し、アメリカで課税される源泉税を毎年5%ずつ引き上げ、最終的に20%の追加課税とする仕組みが設けられていました。

 

たとえば日本を例に取りますと、日本に居住する個人がアメリカ株式から配当を受け取った場合、本来は日米租税条約により源泉税率は10%に抑えられています。しかし899条が適用されますと、これに5%ずつ上乗せされ、最大で30%となる可能性がありました。アメリカの銀行からの利子収入や、不動産の売却益に対しても同様です。

 

現在、不動産譲渡についてはFIRPTA(外国人不動産投資税)により連邦税15%、カリフォルニア州などでは3.3%の州税が課されていますが、それらも毎年段階的に引き上げられる想定でした。

 

この追加課税は「その国に住んでいる居住者」が対象となるため、日本に住んでいる外国人も含まれますが、日本に居住するアメリカ市民権保有者は対象外とされていました。

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