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トランプ税制案に盛り込まれた「899条」とは
トランプ前大統領が打ち出した税制改正案「One Big Beautiful Bill」に盛り込まれていた、内国歳入法899条が世界各国に波紋を広げました。
この条項は、アメリカが「不公正な課税制度を設けている」と判断した国の居住者に対して、段階的に追加課税を行うというもので、国際的な課税秩序に大きな影響を及ぼす内容でした。
最大20%の追加源泉税も
899条では、UTPR(所得に基づく課税の残余配分ルール)やDST(デジタルサービス税)を導入している国の居住者に対し、アメリカで課税される源泉税を毎年5%ずつ引き上げ、最終的に20%の追加課税とする仕組みが設けられていました。
たとえば日本を例に取りますと、日本に居住する個人がアメリカ株式から配当を受け取った場合、本来は日米租税条約により源泉税率は10%に抑えられています。しかし899条が適用されますと、これに5%ずつ上乗せされ、最大で30%となる可能性がありました。アメリカの銀行からの利子収入や、不動産の売却益に対しても同様です。
現在、不動産譲渡についてはFIRPTA(外国人不動産投資税)により連邦税15%、カリフォルニア州などでは3.3%の州税が課されていますが、それらも毎年段階的に引き上げられる想定でした。
この追加課税は「その国に住んでいる居住者」が対象となるため、日本に住んでいる外国人も含まれますが、日本に居住するアメリカ市民権保有者は対象外とされていました。
