フィリピン経済に「黄信号」…企業景況感が急ブレーキでも「2025年後半に復活」は本当か

7月7日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン経済に「黄信号」…企業景況感が急ブレーキでも「2025年後半に復活」は本当か
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今回は、フィリピンの2025年上半期の経済とマーケット、そしてそれらに大きなインパクトを与える海外投資家の動向について解説していきます。

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2025年第2四半期の経済見通し

2025年第2四半期のフィリピン経済については、企業の景況感と国内総生産(GDP)の回復に対する懸念が浮き彫りとなっています。ビジネス・エクスペクテーション・サーベイ(BES)によると、短期から長期にかけて企業信頼感が低下しており、現在のコンフィデンス・インデックス(CI)は28.8と前四半期から減少しています。

 

この背景には、米国による関税問題や選挙後の経済活動の鈍化といった外部・内部要因があると見られます。購買担当者景気指数(PMI)も51.4へと低下しており、全体的に経済の勢いが弱まっていることが示唆されています。これらの指標をもとにした過去の回帰分析からは、2025年第2四半期のGDP成長率は5.1%前後と予測され、悲観的なシナリオで4.8%、楽観的なシナリオで5.7%となる可能性があります。

 

また、セクター別では成長のばらつきが目立っており、建設分野は季節要因と案件の積み上がりにより堅調に推移していますが、サービス業や小売業は需要の鈍化を背景に減速傾向にあります。加えて、中央銀行(BSP)による利下げにもかかわらず、企業への融資条件は依然として厳しい状況が続いており、資金調達面での制約がリスク要因となっています。

 

一方で、地域別や企業規模別に見ると、首都圏外の企業や中堅企業には比較的前向きな動きが見られています。これらの企業は雇用や設備投資計画において大企業よりも積極的であり、地域需要の回復や政策の不確実性の解消によって、物流、地域小売、建設分野などに上振れの余地があります。

 

投資戦略としては、2025年前半の経済は低調にとどまる一方で、年後半から回復基調に入ると予想されています。こうした環境下では、通信や生活必需品などのディフェンシブ銘柄への投資を重視し、原油価格変動へのエクスポージャーを減らすとともに、為替の影響を受けやすい銘柄の再評価が推奨されています。また、利回りと成長の両面で期待できる銀行株やREITにも引き続き注目が集まっています。

 

なお、ABキャピタル証券の2025年後半に向けた予想では、PSEiの目標値を7,400、企業の1株当たり利益(EPS)成長率を10%としています。注目銘柄としては、以下の企業が挙げられています。

 

・SM Investments Corporation(SMインベストメンツ・コーポレーション)

・Jollibee Foods Corporation(ジョリビー・フーズ・コーポレーション)

・Monde Nissin Corporation(モンデ・ニッシン・コーポレーション)

・Ayala Land, Inc.(アヤラ・ランド)

・BDO Unibank, Inc.(BDOユニバンク)

・Bank of the Philippine Islands(フィリピン諸島銀行)

・Aboitiz Power Corporation(アボイティス・パワー・コーポレーション)

・Converge ICT Solutions, Inc.(コンバージ・ICT・ソリューションズ)

・Manila Water Company, Inc.(マニラ・ウォーター・カンパニー)

・International Container Terminal Services, Inc.(インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービス)

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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