マルコス大統領の施政方針演説と財政懸念
フィリピンのマルコス大統領が7月27日に行った施政方針演説(State of the Nation Address、SONA)では、国民の購買力を守るための減税・税制優遇策が目玉となりました。
所得税の非課税上限を年25万ペソから35万ペソに引き上げるほか、中小企業の法人所得税免除、未払い税の恩赦措置、送電ロス費用の消費者負担からの除外案などが盛り込まれました。
これらは消費主導のフィリピン経済を支える重要な施策として位置づけられていますが、格付機関からは財政赤字削減目標に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
ムーディーズ・レーティングスは「中期的財政健全化パスの信頼性が鍵となる。税制免除の穴埋めやさらなる歳入確保、歳出効率化が不可欠だ」と指摘しています。
フィリピンの公的債務はパンデミック期に急増した後、GDP比でまだ十分に低下しておらず、債務の持続可能性が弱まっている状況です。特に、歳入に占める利払い負担の割合が上昇しており、低金利時代の債務が現在の高金利環境で借り換えられる中で、財政への圧力が増大しています。
フィッチ・ソリューションズも「フィリピンには財政余地が限られている」と警鐘を鳴らしています。
2026年第1四半期時点で公的債務のGDP比は65.2%に達し、途上国で一般的に許容される60%の目安や、パンデミック前の40%未満という水準を上回っています。同社は、新たな措置の規模縮小や段階的導入、あるいは歳出削減・歳入増強策との組み合わせが行われない場合、税収減と歳出増が重なって財政赤字が拡大し、借り入れ需要の増加や財政健全化の遅れにつながると指摘しています。

