フィリピンで「株売り・国債買い」の明暗が鮮明に…世界的な不透明感でも「ペソ建て債」が選ばれる理由

8月10日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピンで「株売り・国債買い」の明暗が鮮明に…世界的な不透明感でも「ペソ建て債」が選ばれる理由
写真:PIXTA

フィリピン中央銀行(BSP)が発表した2026年6月の外国人証券投資(ホットマネー)は、1億7,012万ドルの純流入となり、2ヵ月連続でプラスを維持しました。しかし、その内訳を見ると、世界的な地政学リスクや金利動向を背景に株式市場から資金が引き揚げられる一方、高い利回りと財政信認を誇るペソ建て国債には堅調な資金流入が続くという「明暗」が鮮明になっています。2026年上半期全体では流出超過に転じるなど世界的な不確実性の影響を受けるなか、なぜ同国の債券市場は海外投資家を惹きつけ続けるのか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が、6月の最新データから、フィリピン金融市場の二極化と今後の資金フローの行方を読み解きます。

2026年6月のホットマネー動向:2ヵ月連続で純流入を維持

フィリピン中央銀行(BSP)が発表したデータによると、2026年6月の外国人による証券投資(いわゆるホットマネー)は、1億7,012万ドルの純流入となりました。前月の2億3,246万ドルからは減少したものの、2ヵ月連続で純流入を維持し、前年同月の1,834万ドルを大幅に上回る水準を記録しました。市場のボラティリティ(価格変動)が根強く残るなかでも、フィリピン資産に対する投資意欲が衰えていないことを示す結果といえます。


ホットマネーとは、金利差や為替差益などの短期利益を狙い、国境を越えて機動的に移動する投資資金を指します。その流動性の高さと出入りの速さから「熱いお金」と例えられます。ユニオンバンク・オブ・ザ・フィリピンズのチーフエコノミストは、世界的な不確実性が高まるなかでも外国人投資家が関心を維持している背景について、同国のマクロ経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に対する信頼と、国内金融商品の高利回りなどの魅力を反映したものだと分析しています。


資金フローの詳細を見ると、6月の総流入額は前年同月比51.52%増の29億4,200万ドルに達し、4ヵ月ぶりの高水準を記録しました。前月比でも69.40%増と大幅な伸びを示しており、世界的に不安定な環境下にあっても、国内市場に対する海外投資家の関与が力強く続いていることがうかがえます。

 

一方、総流出額も前年同月比44.13%増の27億7,200万ドルへ拡大し、前月比では84.26%の急増となりました。この流出額の増加に関しては、原油価格の上昇や地政学リスクに伴う不透明感を受け、投資家がリスク回避の姿勢を強めてポートフォリオの再調整(リバランス)を進めた結果だと分析されています。

債券市場と株式市場:明暗が分かれる展開

市場別の内訳を見ると、6月の純流入の大部分を占める5億4,000万ドルは、ペソ建て国債への投資によるものでした。これは前年同月の4億1,000万ドルの純流入を上回る規模です。

 

フィリピンの国債市場は、他の新興国と比べて高い利回りを提供している点に加え、財政運営の健全化や格付け見通しの改善傾向を背景に、海外投資家から底堅い需要を集め続けています。同市場は主にBSPが発行する国庫短期証券(Tビル)や、財務省が発行する中長期国債(Tボンド)で構成されており、国内銀行や機関投資家に加え、近年は海外投資家の参入も拡大しています。今回のデータは、世界的な金利上昇局面が一巡しつつあるなかで、同国債券の利回り的魅力が改めて評価されていることを裏付けています。


一方、フィリピン証券取引所(PSE)に上場する株式市場からは、3億7,000万ドルの純流出となりました。前年同月の3億9,200万ドルから流出幅はわずかに縮小したものの、依然として売り越しが続いている状況です。PSE総合指数(PSEi)は、金融、不動産、通信といった主力銘柄で構成されており、世界的な金利動向や米ドル相場、地政学リスクの影響を受けやすい傾向があります。株式市場は債券市場に比べて価格変動が大きく、世界的なリスクオフ(リスク回避)局面では真っ先に資金が引き揚げられやすい性質があります。この点が、今回も継続的な純流出となった背景にあると考えられます。

 

 

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本記事は信頼できる情報源に基づき、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品や投資対象の勧誘、売買の推奨を目的としたものではありません。掲載されているデータや市場見通しは執筆時点のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、読者ご自身の判断と責任において行われますようお願いいたします。

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