アクティブ・ファンドにおける個人投資家の満足度構造を可視化
総合満足度の測定にあたり、「運用方針※1」、「運用実績」、「情報提供」、「コスト」の4つのファクターを設定した。
総合満足度における各ファクターの影響度を統計解析した結果、「運用実績」が47%と最も高く、「運用方針」(24%)、「コスト」(16%)、「情報提供」(12%)と続いた。これは個人投資家がファンドを選ぶ際に、「運用実績」という具体的なリターンや基準価額の安定性を最も重視していることを示すものの、ファンドの投資戦略や分配方針およびそのリスク管理体制といった「運用方針」や購入時や保有期間中、また売却時に要する「コスト」、運用会社から提供される「情報提供」についても満足度に相応に影響していることを示す結果となった。
一般にファンド選びでは「運用実績」の高さに注目が集まりがちであるが、満足度の観点ではそれは半分に満たず、ファンドの運用方針、コストの負担感、そして適切な情報提供といった多角的な要素を総合的に満たすことが高い満足度の形成に寄与することが確認された。
※1 投資戦略の立案・実行、分配方針、リスクの管理体制
高い満足度と投資哲学の魅力度は相関性が高く、ロイヤルティ醸成にも寄与
本調査においては、保有するアクティブ・ファンドに対する満足度を1,000ポイント満点で測定しており、満足度別に個人投資家層を分けて、高い層と低い層で比較したところ、アクティブ・ファンドに高い満足度を示している個人投資家ほど、そのファンドが掲げる「投資哲学」を「見聞きしたことがある」といった割合が高く、またその「投資哲学」に「魅力を感じる」と回答する割合が高いことが確認された。
これは個人投資家が単に運用成績だけでなく、運用会社やファンドマネージャーの運用に対する考え方や信念、どのような価値観に基づいて投資判断を行っているかといった「思想」に共感や納得感を抱いていることを示唆していると考えられる。また、この傾向は特に長期的な視点での資産形成を目指す個人投資家層においても顕著であり、ファンドの理念や考え方が明確であるほど、より強固な信頼関係が築かれるとも言える。
さらに、高い満足度を示している個人投資家は、そのファンドに対する継続意向、追加購入意向、そして他者への推奨意向のいずれにおいても非常に高い結果となった。高い満足度と投資哲学への共感は、単なる保有継続にとどまらず、さらなる投資行動(追加購入)、家族・友人・知人への推奨という形で、ファンドの認知度向上と新規顧客獲得にも貢献していくことが確認される。魅力的な投資哲学と高い満足度の醸成はアクティブ・ファンド市場の活性化において重要な要素と言える。

