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「お金のプロ」からの3つのアドバイス
アドバイス1:税務署と税理士の「視点の違い」を理解する
まず最も重要な点として、本事例のような申告漏れが起こる背景には、税務署と税理士の「視点の違い」への理解不足があります。
確定申告で「寄付金控除証明書」を提出することで、税務署は「あなたが、どの自治体に、いくら寄付したか」を完全に把握しています。そして、「課税漏れがないか」という網羅的な視点でデータを見る税務署は、その高額な寄付に見合う「一時所得」の申告があるかどうかを確認します。
もし申告がなければ、「これだけの寄付をしているなら、相応の経済的利益を得ているはず。申告がないのは不自然だ」と判断するのです。「お尋ね」は、この申告状況の不自然さを納税者本人に確認するために送られてきます。
一方で、あなたの顧問税理士はどうでしょうか。多くの場合、税理士は「寄付金控除を正しく適用する」というクライアントからの依頼目的でその証明書に目を通します。もちろん経験豊富な税理士は付随するリスクにも気を配りますが、その注目ポイントは、税務署の網羅的な視点とは自ずと異なります。
あなたが「返礼品がこれくらい豪華で……」といった具体的な情報を共有しない限り、寄付金控除というメインの業務の裏に潜む、一時所得のリスクにまで考えが及ばない可能性も十分に考えられるのです。
この「税務署は不自然さに気づくが、税理士は(役割や視点の違いから)気づきにくい」という状況こそが、意図せぬ申告漏れの温床となります。専門家を信頼するからこそ、自らの行動に関する情報は、些細なことと思っても正確に共有し、同じ視点に立ってもらう努力をすること。その姿勢が、あなたの資産を守る最後の砦となるのです。
アドバイス2:ふるさと納税の寄付額が少ない方も要注意
次に、「自分は寄付上限額がそれほど高くないから関係ない」と思われている方も、注意が必要です。なぜなら、ふるさと納税の返礼品による経済的利益は、ほかの「一時所得」と合算して計算されるからです。
一時所得には、生命保険の一時金や満期金、損害保険の満期返戻金、懸賞や福引の賞金品、法人から贈与された金品などが含まれます。
たとえば、ふるさと納税による利益自体はさほど大きくなかったとしても、その年にたまたま満期を迎えた保険金など、ほかに高額な一時所得があれば、それらを合算した結果、特別控除額を大きく超えてしまうケースがあります。「ふるさと納税だけ」で考えるのではなく、年間の所得全体を俯瞰する視点が不可欠です。
アドバイス3:ふるさと納税を“お得なショッピング”として扱っていませんか?
最後に、事例の経営者は、返礼品の魅力や還元率に夢中になるあまり、本質を見失っていました。ふるさと納税の本来の意義は、自分が生まれた故郷、お世話になった地域、あるいは純粋に応援したい地域など、寄付先を自らの意思で選択できることにあります。
これは買い物にたとえるならば、「なにを買うか(返礼品)」の前に、まず「どこで買うか(どの地域を応援するか)」を考えるべきだという話です。返礼品は、あくまで地域を応援した結果として得られる感謝のしるし。この原点に立ち返れば、過度な「返礼品ハント」に陥ることもなく、より健全に制度と付き合えるのではないでしょうか。
本記事が、皆さまの税務管理の見直しにつながれば幸いです。
亀井 岬
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル
独立系資産運用アドバイザー(IFA)
※株式会社 アイ・パートナーズフィナンシャル 金融商品仲介業者 関東財務局長 (金仲) 第314号
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