忘れられない2023年のマウイ島火災、そして今も続く海洋汚染 ――ハワイが直面する環境の危機とは
最も有名な事例として挙げられるのが、2023年にマウイ島の歴史的な街・ラハイナで発生した大規模火災です。発生当初は出火原因について様々な憶測が飛び交いましたが、最終的に現地の電力会社が「強風によって送電線が倒れたことが原因だった」とする声明を発表しました。
この火災は、気候変動による乾燥や高温によって被害がさらに拡大したと指摘されています。実際に、火災発生時の状況を示したNASAの干ばつモニター(https://earthobservatory.nasa.gov/images/151688/devastation-in-maui) によると、当時ラハイナの干ばつレベルは「中程度から重度」と深刻な状況にありました。
このような水分不足により土地が砂漠化していたことが、火災を近代アメリカ史上最悪の死者数を出す大惨事へとつながらせた要因の一つだったのかもしれません。
この一件だけでも、ハワイに環境保護税が必要な十分な理由になるかもしれません。しかし、環境問題は山火事だけにとどまらず、もっと身近な場所でも起きています。その一つが、観光客が置き去りにしていく大量のゴミです。
とりわけプラスチックごみは、海洋生物に深刻なダメージを与えることが問題視されています。近年では、ワイキキ周辺のホテルを中心に、こうした状況を受けて宿泊客用の飲料水をペットボトルから、滞在中に再利用可能な水筒に切り替える動きも広がっています。
また、ハワイでは、年齢や性別を問わず地元住民が参加するビーチ清掃のボランティア活動が盛んに行われています。その一方で、観光客が残していったゴミを地元の人々が掃除しているという、皮肉な構図が生まれつつあるのも事実です。
これは日本の観光地でもよく見られる光景ですが、本来、あってはならないものなのではないでしょうか。このように、ハワイが直面している環境問題は、すでに地域社会と自然環境の双方に深刻な影響と負担を与えています。
“美しいハワイ”を未来へ残すために、観光客が果たすべき新たな責任
さらに追い打ちをかけるように、不動産価格の高騰によって、多くの住民が「住宅不足」に悩まされています。現実的な価格で購入・賃貸できる物件は限られており、ハワイを離れざるを得ないという声も少なくありません。
現在、多くの地元開発業者が低・中所得者向けの住宅建設に取り組んでおり、その計画がうまく進むことが期待されますが、状況が急速に改善する見通しは立っていないのが実情です。このような背景を踏まえると、これ以上地元住民に経済的な負担を強いるのではなく、国内外の観光客に一定の協力を求めるという発想は、むしろ自然な流れともいえるでしょう。
世界中の人々から愛されるハワイという場所を、今後も長期的に守り続けていくためには、地元住民や行政だけでなく、その美しさを享受する観光客一人ひとりの協力が欠かせません。
今回導入が決まったグリーンフィーは、こうした危機的状況に対し、観光によって得られる経済的恩恵の一部を、自然保護や復元のために還元する「未来への投資」として位置づけられています。これは、単なる財政措置ではなく、次の世代にも美しいハワイを残すための責任ある判断であると言えるのではないでしょうか。
栗原 なな
株式会社Crossover International
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