事例からの教訓:誰かが「困った」タイミングですぐに福祉など適切な窓口へ
学歴は高いものの社会に出るタイミングで挫折して、その後つまらないプライドが邪魔をして何をしてもうまくいかなくなる。親の世話をしていると言いつつ、実は親に世話をしてもらっている……という今回のようなケースは、意外に多く見受けられます。
やっかいなところは、まず姉の立ち位置からすると「自分は一切悪くない、周りのせいで自分はこんな目に遭っている」と本気で思い込んでいる点です。
自らを俯瞰して反省する、という人は、基本的に少数派です。
これでは、せっかくの支援するほうが疲れてしまって大変です。このようなケースでは、母親が元気でいる間は、家事を母親が担っているので問題は特に表面化しません。
むしろ日々の買い物やレジャー、病院付き添いなど、忙しい弟に代わって姉が協力的に、献身的に動いてくれている、という見方もできます。
そして父親が元気でいて金銭的にも余裕がある場合、その親のお金で問題なく暮らすことができます。トラブルが起きたとしても、親の資金が豊富にあるうちは、ある程度ならお金で解決することも可能でしょう。
ただ、それは両親が元気なうちだけです。
今回のケースのように親が入院した時や、亡くなったあと相続トラブルになってしまって、親族や周りの人と話さなくなると一度に生活が成り立たなくなります。
そこが大きな問題なのです。徐々に実家の管理ができなくなり、やがてセルフネグレクト※1気味になってしまう。
筆者には姉がおり、その姉はいわゆる引きこもりで、20~30代の間に民間企業で少し働いた以外は、ずっと家にいました。
そして、まだ母親が元気な時期に「実家が欲しい、住むところがあれば一人で生きていける」と主張し、母親を脅して実家を姉一人に相続させるという遺言書を書かせていました。
たまたま姉が出かけている時に母親が遺言書を見つけ(仏壇の引き出しにあったそうです)、慌ててシュレッダーにかけてその遺言を撤回した、という経験があります。
あとから「遺言書を知らない? 母が家をくれると言った。私は家が欲しい」と言うので「そうなの、それはなぜそう思ったの?」と聞くと、「テレビで、自宅があれば働けなくても年金で食べていけると見たことがある」「私は働くのが嫌だ」という回答が返ってきて、非常に驚きました。
姉はその頃まだ50歳にも満たなかったですし、固定資産税や屋根や壁、設備などの交換が必要になった際の経費、そしてその広い実家の清掃や除雪等のメンテナンスのことをまったく考えていないと思われる発言だったからです。
「家賃がかからない」としか考えておらず、自宅を維持するためには固定資産税がかかり、日々のメンテナンスが必要になるということまで考えが至らなかったようです。
若杉 恵
ファイナンシャル・プランナー/公認心理師/終活アドバイザー
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