「自称・家事手伝い」のパラサイト女、親が亡くなって問題が表面化
俺はシンゴ、48歳。高知県在住。今日はうちの実家の姉についてなんだけれど、相談に乗ってもらえます?
姉の名前はチエ。50歳。うちの姉はちょっと前に話題になった、いわゆる「子ども部屋おじさん」ならぬ「子ども部屋おばさん」なんだよね。
姉は小さい頃から、非常に出来がよかった。「末は博士か大臣か」なんて、親戚たちからもよく言われていたものだ。
それに引き換え、俺は勉強があまり得意ではなく、「名前を書けば受かる」という高校へ。卒業後は、何社も就職を断られた末にようやく車のディーラーの営業職に就いた。姉と比較されるから実家にいるのが嫌で、さっさと他県にある社員寮に入った。
この業界、昔は結構ブラックで、契約が取れないと休みなんてないも同然。定休日も自宅から客先に通っていたくらいだ。当時のノルマは大変だったけれど、コツコツと地道に仕事をしてきたのを評価されたのか、社長に気に入られて、今では一応、役員にまで出世した。
婚期は逃してしまって、いまだに独身だけどね。付き合っている女性はいて、ひと回り年下のバツイチの女性なんだ。ウチの会社と付き合いがある税理士事務所の事務員をしていて、俺が役員になってから該当する事務に関わる機会が増えて、それが出会いのきっかけというわけ。
でも、実家の姉のことを考えると、彼女との結婚も言い出せなくて……。姉にもし彼女のことを知られたら、何を言われるかわかったものじゃない。姉のいる所に、彼女を連れていくわけにはいかない。
母に心配をかけているのはわかっているけれど、彼女を母にだけ会わせて、姉を避けるのはかなり難度が高い……。姉は、大学時代に就職氷河期と言われた時期を過ごしていたが、「いい学校を出たのだから、就職も楽勝だ」と思っていたようだ。
しかしプライドの高さが災いしたのか、いわゆる有名企業の面接を受けたもののことごとく落とされてしまった。
かといって「中小企業なんて行きたくない」と卒業しても就職先が決まらず、しまいには「もっと研究したいから大学院へ行く」なんて言い出す始末だ。しかし、大学院を修了してもなぜか就職は決まらなかった。

