待望の内定は大手一流企業。盛大にお祝いしたが……
就職活動が本格化した大学4年の6月、長男は大手一流メーカーの内定を勝ち取りました。大企業の名に親戚や近所からも「すごいね」「親孝行だね」と声が上がり、小林さんは鼻高々。一家は久々に明るい話題で湧きました。
夏に長男が帰省した時には、近くに住む親戚や友人を招いてお祝いの食事会を開き、小林さん自身「これまでの苦労が報われた」と胸をなでおろしたといいます。
そして翌年4月、無事に入社を果たした長男。もうこれで心配することはない……そう思っていました。ところが、入社から2年半ほど経ったある日、1本の電話がかかってきました。
「父さん、来月末で会社を辞めることにしたよ。もう退職届も出した」
思わず言葉を失いました。あれだけ頑張って入社した大企業。実際に働いてみて、息子なりに感じたことや葛藤があったのだろうとは思いつつ、「もう少し続けてみたら?」と言うも、息子の決意は固まっていました。
「今の子は一度就職したからといってそれがゴールじゃない。分かっていたはずなのに……正直、ショックでした」
