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THE GOLD ONLINE フェス2025 SUMMER
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セカンドライフのチャンス
Aさんは勤めた会社一筋で定年を迎えていました。このまま老後を平凡に過ごし、人生を終えるのか――。ぼんやりとそんなことを考えていた矢先、人生に新たな刺激が舞い込んできます。もともと明るく、後輩からも慕われていたAさん。彼が誰かに頼られると、なんとかしてあげたいと考える優しい性格であることを、後輩はよく知っていました。
そんなAさんに、直属の部下で長年の付き合いがあった後輩が、共同経営の話を持ちかけてきたのです。いまの会社で定年を迎える前に自分で会社を起業したい、そしてAさんにもぜひ経営に携わってほしい、と資金援助を求めてきました。
Aさんはこの誘いに「セカンドライフにひと花咲かせてみよう」と心が躍ります。潤沢な妻の相続財産も含めれば、多少の資金援助をしても老後破産に陥るはずがないと、高を括っていたのです。
そして、共同経営を始めて5年が経ち、Aさんが66歳になったある日。妻が「ずっと身体がだるい。ここ数日、症状がひどいので一度病院に行ってみる」と訴えました。目に覇気がなく、元気がないことは一目瞭然だったため、Aさんが病院に連れていくことに。そこで宣告されたのは、まさかの末期癌。知らず知らずのうちに病状は進行しており、気づいたときには手術できない状態にまで悪化していたようです。
妻の財産は底を尽き…
Aさん夫婦にはすでに独立して家庭を持つ娘が一人います。妻は以前、実家の相続が起きた際、「もし私が先に逝ったら、この財産は娘や孫のために使ってあげてね。あなたのほうが年上だし、運動不足だから、きっと私が長生きすると思うけど」と笑いながらAさんに伝えていました。その無邪気な笑顔を思い出し、Aさんの胸は締め付けられます。
なぜなら、その大切な財産は、すでに危機に瀕しているからです。
お金の管理を妻に代わって一手に担っていたAさん。妻の相続財産も、妻名義の預金通帳を彼が管理していました。だからこそ、後輩との起業に際し、具体的な出資金額を妻に告げることはありませんでした。
妻の余命宣告は、Aさんにとって、自身の「負の財産」が明るみに出るカウントダウンを意味しました。妻が亡くなり、相続のプロセスが始まれば、Aさんが隠してきた巨額の借金が露呈するのは避けられないでしょう。妻が娘や孫のためにと願った財産は、すでに底を尽きかけていたのです。
後輩が独立した当時、Aさんの退職金から運転資金の一部を捻出していました。会員制のスポーツジムとして開業しましたが、コロナ禍をきっかけに会員数が激減。業務委託のインストラクターへの委託料も払えなくなり、Aさんが個人的に立て替えていました。
コロナ禍が落ち着き、人の流れが戻りはじめても、施設の維持費を賄うのは困難でした。Aさんが先行きに不安を募らせるなか、資金の貸し出しは自身の資産だけでは足りなくなり、ついには妻の財産にも手を付けていたのです。
共同経営を始めた以上、先輩として引き下がることができず、泥沼にはまりながら資金を出し続けたAさん。ある夜から、後輩と突然連絡がとれなくなり、その行方もわからなくなってしまいました。
茫然自失となったAさんをさらに追い詰めたのが、病床の妻の姿でした。残り少ない命となった妻を前に、夫の脳裏をよぎるのは妻の身体ではなく、夫婦の資産。
あと何ヵ月、何日、命がつながっているだろうか。最期の別れまでにどのくらい穴埋めができるのだろうか――。その問いが、Aさん自身にこの世の終わりを告げられているかのようでした。
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