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8年前、北海道に移住を叶えた40歳長男
「健太、実はちょっと大きな話があってね……」と切り出し、マンションの資産価値が8,000万円に上昇したことと、長女に相続させる考えを伝えました。
「えっ、8,000万円? それは驚いたな……」電話の向こうで健太さんの声が高ぶります。「でも、マンションを妹だけに相続するのか……」その声はわずかに沈みました。
「美咲が同居して私たちの面倒をみてくれているし、彼女の将来のためにも安心して住める場所を残してやりたいんだ。預貯金は別に考えるつもりだよ」
妻に話すと…
北海道の小さな町のアパート。電話を切った健太さん(40歳)は、同居している妻の真由美さん(仮名/39歳)に事情を説明していました。8年前に東京の広告代理店を辞め、二人で地方に移住。地元の観光協会で働きながら、週末は農家の手伝いもしています。
「まさか実家がそんなに価値が上がるなんてね。父さんは妹にマンションを相続させるつもりらしいよ」健太さんはお茶を一口飲み、窓の外の雪景色をみつめました。
「美咲が葬儀社を辞めて、両親の面倒をみてくれることになって助かったことは確かだよね」と健太さんは続けます。
しかし真由美さんの表情は一変しました「ちょっと待って! 8,000万円ものマンションを義妹さんだけに相続するの? それは完全に不公平じゃない? あなたはなにももらえないってこと?」。
健太さんは曖昧に肩をすくめます「まあ、預貯金の2,000万円は別に考えるみたいだけど……」。
「2,000万円と8,000万円? それでも全然釣り合わないでしょ! 子どもたちの大学資金も考えないといけないのに、義妹さんだけがそんな高額の財産をもらえるなんて、おかしいわ!」
健太さんは黙り込みました。確かに妻の言い分も一理あります。妹は両親の面倒をみてくれているけれど、8,000万円という価値は大きすぎるでしょう。自分たち家族の将来も考えなければなりません。
「どうするつもり?」真由美さんが尋ねます。
「いや……妹への感謝と、家族としての公平さ。どっちも大事なんだよね」健太さんは難しい表情で答えました。
真由美さんは立ち上がり、キッチンからワイングラスを持って戻ってきました。
