「どうせ私がやるんでしょ…?」
陽子さんは、平日の夜に1回、土日のいずれかに1回の週2回、母親が暮らす実家に足を運びます。母の代わりに買い物をするほか、行き届かない掃除洗濯といった、その他の雑事を引き受けるためです。土曜日には朝から通院の付き添いをすることもあります。
陽子さんが限られた時間でバタバタと家のことをこなしている間、兄は2階の四畳半にこもっていて、一切出てきません。
「兄の顔を直接見たのは何年も前です。母は〈お兄ちゃんは気まずいのよ〉ってかばいますが、中学生じゃないんだから…。いまはまだいいですけれど、母に本格的な介護が必要になったら、どうするつもりなのでしょうね」
株式会社ヤマシタの調査によると、「あなた、またはご両親の介護について、どのぐらい不安を感じているか」という質問に対し(単一回答、n=44,573)、女性は「非常に不安を感じる」と答えた人が22.1%、「不安を感じる」と答えた人が42.1%だったが、男性は「非常に不安を感じる」と答えた人が17.6%、「不安を感じる」と答えた人が39.8%という結果でした。男女ともに不安を感じる(非常に不安を感じる・やや不安を感じる)割合は過半数だったものの、女性の方が不安を感じる割合が高い傾向にありました。
さらに、まだ介護を行っていない方への「両親・義両親についてどなたが介護を行う予定か」(単一回答、n=28,449)、という質問では、「主に自分(=回答者)が面倒を見ることになると思う」と回答した女性は37.3%だったことに対し、男性が25.3%と、男女で12ポイントの乖離があり、現在介護を行っている方への「どなたが介護を行っているか」(単一回答、n=18,934)という質問では、「主に自分(=回答者)が面倒を見ている」は女性が24.6%、男性が16.3%と、こちらも女性のほうが8ポイント上回る結果となりました。
自分が介護をすることになると思っている割合も、実際に介護をしている割合も、女性の方が男性より高くなっています。
「結局、長女の私ばかり貧乏くじ…」
母がいなくなったら、その次は…?
しかし、陽子さんには、さらにその先を心配しています。それは「もし母親を施設に入れたら、無職の兄の世話が自分にのしかかってくるのではないか」ということです。
「母が受け取っている年金は約14万円程度。7年前に父が亡くなったときに相続した数百万円と、狭くて古いとはいえあの実家を売れば、施設への入所費用はどうにか大丈夫だと思うんです。でも、それでは兄が残ってしまう…」
陽子さんは、本当ならもっと広いマンションに暮らすこともできるそうですが、母親になにかあったときに兄が転がり込んでくるのではないかと恐れ、あえて狭いアパートに暮らしているといいます。
「どのタイミングで、どんな対応をすればいいのか…。朝から晩まで仕事をして、大学を目指す娘のサポートをして、母の介護に通って。そのうえで、兄の問題まで…。正直もう、いっぱいいっぱいです。私が倒れてしまいそう」
「兄のことは、福祉に頼った方がいいのではと思っています。ですが、いまはまだその段階では…。結局、ギリギリになってからでないと、動きようがないのですよね」
さまざまな不安はあるけれど、いまは動くに動けない。そんな状況に陽子さんは頭を抱える状況なのです。
\1月10日(土)-12日(月)限定配信/
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