48歳シングルマザーの悩みは、高齢母の介護不安だけでなく…
「なんで私ばっかり…」
ついついそんな愚痴が出てしまう、48歳の鈴木陽子さん(仮名)。陽子さんは都内の制作会社でデザイナーとして働く会社員ですが、高校2年生のひとり娘を育てるシングルマザーでもあります。
「最近、先々のことを考えると不安で眠れません…」
勤務先は中小企業ながらも、陽子さんの年収は600万円弱とまあまあの金額です。公立高校に通う娘と2人、単身用のアパートに身を寄せ合って暮らしています。
「娘は素直で明るいいい子です。私が仕事で遅いときは、夕食の準備もお風呂の掃除も引き受けてくれます。勉強も頑張っているし、希望の大学に行かせてあげたくて…」
娘さんのこととなると、目をキラキラさせながら話してくれる陽子さんですが、自身の高齢の母親と、母親と同居する兄のことになると、一転して表情が曇ります。
「横浜市の実家で暮らす母は70代後半です。もともと持病があるところに、このところ年齢のせいか、すっかり足腰が弱くなってしまい、室内でも危なっかしくて…」
「私も自宅が離れているし、本人だって老人ホームに入ったほうが安心だとわかっているのに、決断できないんです」
決断できない理由は明確でした。母親と同居する50歳の兄・高広さん(仮名)の存在です。
「兄は20代で人間関係につまずき、それから引きこもりがちになりました。以前は非正規で働いていたのですが、ここ数年はずっと無職で、生活のすべてを母に頼っている状態です。母親が負担しているのは、生活費の負担だけではありません。食事・掃除・洗濯といった家事全般、すべて高齢の母親がやっているのです」
「母に今後のことを相談しても、〈お母さんが施設に入ってたら、お兄ちゃんが…〉というだけで、いつも堂々巡り。こんなこと、人には相談できません」
陽子さんはうんざりした表情を隠しません。