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米国株が最強である理由4:株主への情報公開と利益還元
投資家への情報開示を重視している点も、米国株が魅力的な投資対象である理由です。情報公開に関する法律が整備されていて、財務諸表をはじめとする詳細な情報を公開することが企業に義務付けられているからです。
投資家はこういった情報をもとに、企業の現況や将来性を分析し、投資判断を行います。アナリストによる分析レポートも簡単に手に入り、とにかく情報は豊富にあります。
もうひとつ米国株の大きな魅力として、株主への徹底した利益還元があります。高配当銘柄や、毎年配当を増額している増配銘柄がとても多いです。アメリカには、25年以上増配を続けている「配当貴族」が100社以上、50年以上連続増配している「配当王」が数十社存在します。ちなみに日本で「配当貴族」に該当するのは、花王など数社だけです。
さらに、アメリカでは企業による株主への利益還元策として、自社株買いがさかんに行われています。自社株買いとは、企業が自社の株を市場から買い戻すこと。これによって発行済株式数が減少するため、1株当たりの価値が高まり、株価の上昇につながります。アメリカ企業が増配や自社株買いを行うのは、「企業は株主のもの」という価値観が浸透しているからです。
ただ、わたしはあまり配当金のことを気にしていません。アメリカでは年に4回程度、配当金が支払われます。企業によって異なりますが、株価に対して年5%程度の利回りの企業が多いです。5%の配当金では、資産を大きく増やすことは難しいでしょう。仮に10億円くらい持っていて、「株価の動きを見るのはもうやめます。配当金をもらって暮らします」ということなら、それだけでも年間5000万円程度の配当が期待できますから、よいかもしれませんが。
多額の配当金を出す企業は、基本的には成長を終えた企業です。成長する余地があるなら、配当金を出さず、そのお金を研究開発費に回そうとするからです。配当金を出せる企業は優良企業ですが、成長が終わった企業だということを押さえておきましょう。成長が終わった企業に投資しても、株価の大きな上昇は期待できません。
人工知能(AI)、ヘルスケア、宇宙開発といった旬のテーマがあって、株価の上昇が期待できる銘柄がたくさんあるのに、わざわざ成長しない企業に投資することはないでしょう。
さて、このような強みがあることから、米国株は高値を更新し続けています。アメリカ経済は何度もリセッションを経験していますが、それを乗り越えて、S&P500の年平均リターンは、1950~2023年までが10.7%、2000~2023年は8.1%となっています。
一方で、日経平均はバブル期の1989年12月につけた史上最高値を、ようやく2024年2月に更新しました。30年以上かけて、ようやくバブル期の最高値まで戻ってきました。これが日米の成長力の違いです。


