外国人殺到で「ホテルは満室」、でも国内旅行は「イマイチ」…日本の観光業、V字回復「歓喜」の裏に潜む死角

国土交通省『令和7年版 観光白書』を紐解く

外国人殺到で「ホテルは満室」、でも国内旅行は「イマイチ」…日本の観光業、V字回復「歓喜」の裏に潜む死角
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の観光業界は、コロナ禍による長い停滞を経て、いま再び活気を取り戻しています。2024年には訪日外国人旅行者が過去最高を記録し、主要都市のホテルは満室が続くなど、インバウンド需要はV字回復を遂げています。一方で、国内旅行は消費額こそ伸びているものの、旅行回数や高齢層の動きには依然として課題が残り、観光業の「歓喜」の裏には新たな死角も見え隠れしています。急速な回復の光と影、その現状と今後の焦点を探ります。

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    「国内旅行」の現状と今後の焦点

    国内旅行市場は、消費額に限れば過去最高を記録しました。しかし、物価上昇の影響もあり、1回あたりの出費は増えたものの、旅行回数自体は依然としてコロナ前の水準には届いていません。特に高齢層では旅行を控える人が目立ち、健康や移動手段の確保といった課題も浮き彫りになっています。

     

    また、慢性的な問題である「休暇取得率の低さ」も大きな要因のひとつです。有給休暇の取得率・取得日数が依然として低水準で、旅行の機会が限定されがち。その結果、観光シーズンが特定時期に集中し、宿泊施設の混雑や価格の上昇といった問題が発生しています。

     

    観光業の需要が回復する一方で、人手不足やサービス品質の維持といった供給側の問題も深刻化しています。特に宿泊業では、労働力の確保が追いつかず、従業員の定着率や労働環境の改善が喫緊の課題となっています。さらに、訪日客の宿泊が都市部に偏りがちである点も見逃せません。関東や関西に訪れる人が大半を占めており、地方への誘客をどう進めるかが今後の大きなテーマとなるでしょう。観光資源の磨き上げや交通インフラの整備が必要とされています。

    観光の「質」を高める戦略を

    観光政策を考えるうえでは、インバウンドの拡大だけでなく、国内旅行の活性化も重要です。特に若い世代の旅行意欲が戻りつつある今、平日旅行の推進や個人旅行向けの支援が有効とされています。

     

    また、これからの観光は「数」よりも「質」が問われる時代。地方での体験型観光や長期滞在、文化的価値の高いコンテンツの提供など、旅行者の満足度を高める工夫が求められます。観光が地域社会と持続的に結びつくための視点が、これまで以上に重要になってくるでしょう。

     

    [参考資料]

    国土交通省『令和7年版 観光白書』

     

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