外国人殺到で「ホテルは満室」、でも国内旅行は「イマイチ」…日本の観光業、V字回復「歓喜」の裏に潜む死角

国土交通省『令和7年版 観光白書』を紐解く

外国人殺到で「ホテルは満室」、でも国内旅行は「イマイチ」…日本の観光業、V字回復「歓喜」の裏に潜む死角
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の観光業界は、コロナ禍による長い停滞を経て、いま再び活気を取り戻しています。2024年には訪日外国人旅行者が過去最高を記録し、主要都市のホテルは満室が続くなど、インバウンド需要はV字回復を遂げています。一方で、国内旅行は消費額こそ伸びているものの、旅行回数や高齢層の動きには依然として課題が残り、観光業の「歓喜」の裏には新たな死角も見え隠れしています。急速な回復の光と影、その現状と今後の焦点を探ります。

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    ポストコロナ時代における展望と課題

    新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、観光業は長く停滞を余儀なくされました。しかし、2022年以降、各国で感染対策が進んだことで国境の往来が徐々に再開され、観光の現場にも明るい兆しが見え始めています。

     

    国土交通省『令和7年度版観光白書』によると、2024年の国際観光客数は約14億4,500万人と、ついにパンデミック前の水準にまで回復を果たしました。この回復は単なる数字の復元にとどまらず、人々の移動や消費活動が再び活発になったことの象徴。同年の世界の実質GDP成長率も3.3%と堅調であり、観光の復調が経済全体の後押しとなっていることがうかがえます。

    地域ごとの動き…アジア太平洋の躍進と欧米の安定

    2024年、地域別に見た観光客数の動向では、特に顕著だったのはアジア太平洋地域。前年に比べて約33%の増加を記録し、3億人以上が訪問。日本を含む地域への関心が再び高まり、航空便の再開やビザ緩和などが追い風となったようです。

     

    一方で、欧州やアメリカ大陸も引き続き安定的な成長を見せており、それぞれ7億人超、2億人超の観光客を受け入れました。これらの地域はブランド力の強い観光地が多く、国境が開いた途端に旅行需要が戻ってきたと考えられます。

     

    観光収入の面では、アメリカが首位を維持し、次いでスペインやイギリスが続いています。訪問者の滞在日数や一人当たりの支出が高く、成熟した観光市場の強さが収益にも反映されています。

     

    また日本でも、観光業における回復が一段と鮮明になってきました。2024年には訪日外国人の数が3,687万人に達し、ついに2019年を上回りました。韓国、台湾、アメリカ、そして東南アジア各国からの来訪者が大きく伸びた点は注目に値します。

     

    さらに旅行消費額も大幅に増え、8兆円を超える水準にまで到達。これは為替の影響に加え、物価の上昇、そして長期滞在型の旅行が増えていることが背景にあると考えられます。ホテルや旅館の稼働率も順調に戻ってきており、宿泊業界全体にとって追い風となっています。

     

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