富裕層が集う島、離れていく庶民……「二極化」の実態
米国最大の不動産情報サイト『Zillow』の最新データ(https://www.zillow.com/rental-manager/market-trends/hi/)によると、2025年時点でのハワイ州の平均賃料は前年より約100ドル上昇し、現在は月額3,000ドル台で推移しています。これは全米平均と比較して約48%も高い水準にあります。
さらに、ハワイ州では生活必需品や食料品の多くを本土から輸送しているため、輸送コストが物価に上乗せされやすく、日常生活にかかるコストも高めです。外食費やガソリン代など、あらゆる面で生活コストがかさむのが現状です。
加えて、日本から移住・滞在を考える人々にとっては、円安の影響も無視できません。現在の為替レートでは、実際の物価以上に「割高感」を強く感じるケースが大半です。
それでも、パンデミック以降、米国本土の大都市からの人口流入が加速しています。リモートワークが普及したことで、ワシントンD.C.やサンフランシスコのような都市に高額な家賃を払う必要性が薄れ、「同じ家賃を払うなら、気候や治安がより良い、自然豊かな場所で」と、ハワイに拠点を移す人が増えているのです。
米国国勢調査局(Census)の最新統計(2023年度)によると、面白いことに平均賃料がハワイに次いで高いとされるカリフォルニア州やワシントンD.C.から、ハワイへの移住者数は増加傾向にあります。
たとえば、カリフォルニア州からハワイへ移住した人の数は年間11,200人。ワシントンD.C.からは773人がハワイへ移住しています。対して、同じ年にハワイからカリフォルニアへ移住したのは8,094人、ワシントンD.C.へはわずか53人にとどまっている状況です。
一方で、ハワイに比べて物価が圧倒的に安く、かつハワイと似た温暖な気候を持つテキサス州へは、ハワイから約5,300人が移住しており、生活コストの軽減を求めるグループの動きも読み取れます。
冒頭でも述べたように、高額な生活費を支払える外部からの富裕層がハワイに集まる一方で、生活の厳しさから島を離れる人も一定数いるという“二極化”の傾向が浮かび上がってきます。
