退職後の空白を埋めたゴルフ、そこでも「大盤振る舞い」
退職後しばらくは、その余韻に浸りながら、平日の散歩や買い物を楽しんだAさん。引き継ぎきれなかった仕事の問い合わせにも丁寧に対応し、まだ少し会社とのつながりを感じられていました。
ところが、2週間も経てば日々の予定は「食事、テレビ、風呂、晩酌」だけに。忙しく生きてきたAさんにとって、そうした日々はむしろ苦痛だったといいます。とはいえ、用もないのに会社に顔を出すほど、空気が読めないわけでもありませんでした。
そこでAさんは、昔から好きだったゴルフに本腰を入れることに。「お前も暇だろ?」と元同期に声をかけ、コースへ通う日々。そこから仲間が増え、断ることのないAさんには誘いが絶えない状態に。次第に孤独感も薄れていきました。
ゴルフ仲間との時間は楽しく、プレー後の食事や打ち上げでは、いつものようにAさんが「ここは俺が」と支払い役に。会社員時代の延長線上のようなその立ち回りは、もはや癖のようになっていたのかもしれません。
しかし、退職から1年ほどが過ぎた頃。ある日、妻が真顔でこう告げました。
「あなた、もう会社員時代と違って収入は年金だけなの。老後を楽しむにも限度があるでしょう。こんなにお金を使っていたら私たちの生活持たないわよ」
年金は夫婦合わせて月26万円。平均より多めとはいえ、現役時代とは比べ物にならない収入です。本来なら節約して、細く長く老後を楽しむべきでした。
ですが、ゴルフのプレー・練習代やゴルフ用品の買い替え、ガソリン代、付き合いのギフトや飲食代などで月10万円以上の出費が当たり前に。65歳時に2,800万円あったはずの貯蓄と退職金の残りはみるみる減り、たった1年で、少なくともゴルフ関係だけで300万円を使っていたのです。
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