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遺書の法的効力
遺言と遺書の違いは?
遺言は民法で規定されており、法的効力があります。一方遺書は死を覚悟して認める手紙(文書)です。
遺言の効力は、遺言者の死亡のときから生じ、それによって死後の法律関係が定まります。ただし、遺言の記載事項のすべてに法的に有効な効力が生じるわけではなく、法的効力が生じるのは、民法に定めているおもに次の12種類です(できることなら民法の条文も確認してください)。
1.相続に関する事項
(1)共同相続人*¹の相続分の指定、または第三者への指定の委託法定相続分*²とは違った相続分を指定することができます。また自分で相続分を指定しないで第三者に指定を委託することもできます(相続分の指定の委託)。
(2)遺産の分割方法の指定、または遺産の分割禁止―遺産を相続人の誰に取得させるのかを具体的に定めることができます。また五年を超えない期限を上限として遺産を分割することを禁止することもできます。
(3)推定相続人の廃除、または廃除の取り消し―廃除とは遺留分*³をもつ推定相続人が被相続人*⁴に対して、虐待をしたり、重大な侮辱を加えた場合や、法定相続人にその他の著しい非行があった場合に、家庭裁判所に請求して相続権を奪う制度です。生前行為によってすることもできますが、遺言によってすることもできます。
2.その他の財産処分に関する事項
(4)遺贈―遺贈とは遺言によって遺産の全部または一部を、無償または負担を付して譲渡することです。遺贈には包括遺贈*⁵と特定遺贈*⁶があります。
(5)生命保険の保険金受取人の変更―保険金受取人の指定もしくは変更は遺言によってもすることができます。
(6)一般財団法人を設立する意思の表示―財団法人を設立するためには寄付行為が必要となり、その寄付行為は遺言によってすることができます。遺言で寄付行為をする場合は、遺贈に関する規定が準用されることになります。
(7)信託の設定―信託とは、受託者に対して財産権の移転等をし、受託者は受益者のために信託財産の管理、または処分をする制度です。おもに生前にされることが多いですが、遺言によってもすることができます。
*1 共同相続人……相続が開始したあと、遺産を複数の相続人が一緒に相続している状態を、共同相続という。共同相続人とは、その場合の相続人のこと
*2 委託法定相続分……民法は各相続人の一応の相続分を定めており、これを「法定相続分」という。ただし、遺言事項として法定相続分と異なる相続分を指定した場合には、その指定による相続分が優先される。このほか、「相続分の指定の委託」といって、相続分の指定を第三者に委託するという内容を遺言事項とすることもできる。この場合、委託を受ける第三者は、相続と利害関係を有しない者でなければならず、相続人や包括受遺者はこの委託を受けることができない
*3 遺留分……一定の相続人のために、法律上最低限留保されなければならない遺産の一定割合のこと
*4 被相続人……死亡した人のこと
*5 包括遺贈……個々の財産を特定しないで、財産の全部または一部を包括的に遺贈するもの
*6 特定遺贈……不動産、預貯金等特定の財産を与える方法のこと
