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Q1. つねに相続人になれる人は誰ですか
A. 被相続人の配偶者(※)はつねに相続人になれます(民法890条)。
(※)配偶者……相続権のある配偶者とは、婚姻届の出されている配偶者を指し、
内縁関係の者には相続権はない
Q2. 民法の定める遺言書の種類について教えてください
A. 下記の[図表1]を参照してください。公正証書遺言*1と自筆証書遺言が一般的です。
*1 公正証書遺言……公証役場へ行くか、公証人に来てもらって公証人に作成してもらう遺言のこと
*2 検認……遺言書が偽造や変造されないよう家庭裁判所がとる証拠保全手続のこと
*3 公証人……判事、検事、法務局長、弁護士等を永年勤めた人のなかから、学識ならびに人格の高い人を法務大臣が任命する
Q3. 夫婦が共同で同一の証書で遺言を書いても有効ですか
A. 民法975条に〈遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない〉と定められています。
これは法的な権利関係が不安定、不明確になることを防ぐためです。これを「共同遺言の禁止」と呼んでいます。
したがって、夫婦が共同で同一の証書で遺言を書くと無効となります。別々の証書で同一内容の遺言をすることはまったく問題ありません。
Q4. 遺言書を作成すればどのような利点がありますか
A. 遺言がないと遺産の相続は民法の定めに従った法定相続となるので、相続人が全員で協議して分割することになります。
この遺産分割協議は、相続人同士の関係が良好でない場合、紛争を招くおそれがあります。このことから、残された家族のことを配慮しつつ愛情をもって財産の配分を決め、トラブルを予防することができるのが遺言の大きな利点といえます。
具体的な利点は次のとおりです。
(1)法定相続とは異なる配分ができる
(2)法定相続人以外の者に遺贈ができる
(3)遺産の具体的な配分方法が指定できる
(4)遺言はいつでも取り消し、書き直しができる
(5)遺言執行者を指定することにより、遺言内容が確実に実現できる
Q5. 遺言がとくに必要なケースについて教えてください
A. 法定相続による遺産分けでは自分(被相続人)の意にそぐわない場合が多々あります。
遺言をすることにより、被相続人の意思は法律が確実に実現してくれます。したがって、相続人やお世話になった人(内縁の妻等)が自分の死後、平穏に生活していくことが可能になります。
とくに、次のような場合には、是非、遺言書の作成をおすすめします。
1.子供がいない場合(すでに自分の両親も死んでいる場合)
遺言を作成しないまま自分が死ぬと、自分の兄弟姉妹にも相続権が生じます。遺言があればすべての遺産を妻(あるいは夫)に残すことが可能です。兄弟姉妹には遺留分はありません。
2.内縁の妻や認知したい子供がいる場合
正式に結婚していない者や認知されていない子供には、民法では相続権が認められていないので、遺言がなければ財産を残すことができません。
3.先妻の子供と後妻の子供がいる場合
異母きょうだいは互いに快く思っていないケースが多く、相続でもめる可能性があります。それを避けるため、遺言でそれぞれの相続分を決めることができます。
4.亡くなった息子の妻の世話になっている場合
亡くなった息子の妻には相続権はありませんが、長年にわたり介護等の世話をしてくれたことに対する感謝の気持ちを示す方法として、遺言により遺産の一部を残すことができます。
5.財産を社会に役立てたいと考えている場合
自分の死後、財産を社会に役立てたいと考えている場合、遺言によりその意思を実現することができます。
6.相続人がいない場合
相続人がまったくいない場合、その財産は国庫に帰属することになりますが、遺言により世話になった知人などに財産を残すことができます。

