(※写真はイメージです/PIXTA)

どんなに仲のいい夫婦でも、いつかはパートナーとの別れが訪れる。そんな万一のために、心の備えもお金の備えも必要だが、自営業の夫婦の場合は、しばしば備えが不足するケースが見て取れる。実情を見ていく。

「私の姉も夫を亡くしたけれど…?」

真理さんが困り果てていると、同じアパートに暮らすご近所さんが「私の姉も夫を亡くしたけれど…」と話しかけてきた。なんでも、その人の姉は月8万円程度の遺族年金をもらっているというのである。

 

真理さんは「遺族年金」という言葉こそ聞き覚えがあったが、どのような制度なのかはサッパリわからなかった。

 

「あなただって〈遺族年金〉もらえるんじゃないの?」

 

そのように聞かされた真理さんは、期待を胸に年金事務所へと足を運んだ。

 

「夫が亡くなりまして…。私も〈遺族年金〉をもらいたいのですが?」

 

ところが担当者から突き付けられたのは、真理さんには遺族年金を受け取る資格がない、という厳しい事実だった。

「どうしてもらえないのですか…!?」

遺族年金は大きく「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分かれており、亡くなった者に生計を維持されていた遺族が受け取ることができる制度だ。

 

遺族基礎年金は、国民年金に加入している者が死亡した際に、受給要件を満たせば「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができる。国民年金は国内に住む20歳以上60歳未満の全員が加入しているため、「遺族年金は誰もがもらえる」と誤解されやすい。しかし、前述のとおり「子」の要件があるため、基本的に遺族基礎年金が受け取れるのは子育て中に限られると考えるべきである。

 

一方の遺族厚生年金は、一定条件を満たした厚生年金加入者が死亡した場合、受給要件を満たす配偶者やその他の遺族が受け取ることができる。遺族基礎年金と異なり「子」の要件はない。

 

自営業者が年金に加入する場合、厚生年金のような充実した保障は存在せず、国民年金のみで老後を支えることになる。遺族に対しても同様である。厚生年金分の保険料を払っていないため、自営業者の場合、死亡後に遺族が受けられる公的保障は限定的であることを理解し、あらかじめ備えておく必要がある。

 

「年金事務所で〈どうして!?〉〈なにかの間違いなのでは?〉って、思わず泣いてしまいました…」

「甘い見通しを持っていたことを、心底後悔しています…」

 

――60になっても、70になっても、体が続く限り、ふたりでこの店をやっていこうね。君と一緒に居られて、僕は本当に幸せだよ?

 

そういってほほ笑む敦さんに、一生ついていこうと思っていたという真理さん。

 

とくに自営業者の場合、年金制度だけで老後を賄うのはむずかしい。だから、できるだけ早い段階で、生活設計を検討しておくことが望ましい。遺族年金が受け取れない場合、生活費の確保、医療費の負担、年金に頼らずに生き抜くための準備など、考えるべき課題は多いのだ。年齢を重ねてから後悔しないためにも、人生のマネープランへの緻密な取り組みが求められる。

 

[参考資料]

日本年金機構『遺族年金の制度』

生命保険文化センター『2022年 生活保障に関する調査』

 

 

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