5月20日~5月26日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント>
・先週は、予想以上の米中関税率大幅引き下げ発表を受けた世界的な株価急騰のなか、米ドル/円も週明け早々148円まで急騰した。ただすぐに下落に転じると、週末には一時145円割れに。
・米ドル安・円高へ戻した一因は、米国からの円高圧力への警戒。今週は日米の為替協議が行われる可能性がありさらに注目を集めそう。
・ただ米国からの円高圧力を表面化させる可能性には懐疑的。今週の米ドル/円は143円~147円で方向感が定まりにくい展開か。
先週の相場…一時148円まで米ドルが急騰もすぐに下落へ転換
早々に終わった「米中サプライズ」を受けた米ドル急騰
先週は、週明け早々米中が一時的な関税率の大幅引き下げで合意、「貿易戦争」への懸念が大きく後退したことで世界的な株価急騰となるなか、米ドル/円も145円台から一気に148円台後半まで一段高となりました(図表1参照)。ただすぐに下落に転じると、週末には一時145円も割れるなど、「米中サプライズ」を受けた米ドル/円の急騰も、いわゆる「行って来い」の結果となりました。
「米中サプライズ」を受けた米ドル/円の急騰は、日米の金利差(米ドル優位・円劣位)からはかい離したものでした(図表2参照)。では、日米の金利差がそれほど拡大しなかったにもかかわらず米ドル高・円安が大きく広がったのはなぜかといえば、短期売買を行う投機筋が米ドル買い・円売り拡大に動いた影響などが大きかったのではないでしょうか。
代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは最近まで空前規模の買い越し(米ドル売り越し)が続いてきました(図表3参照)。こういったポジションは、米ドル高・円安が大きく進むと利益が縮小し、むしろ損失に転落するリスクも高くなります。
このため予想外の米中合意を受けて、世界的な株価急騰となるなかで、リスクオンを理由に米ドル高・円安が急拡大することを警戒し、米ドル売り・円買いのポジションの圧縮(米ドル買い・円売り)を急いだことが、日米の金利差拡大以上の米ドル高・円安をもたらした主因だったのではないでしょうか。
ちなみに、米ドル/円が一気に148円台まで急騰した翌日、13日時点の投機筋の円買い越しは17.2万枚で1週間前に比べ0.4万枚の小幅な縮小にすぎませんでしたが、円急落の直後だったことからどれだけ実態を反映したかは微妙で、実際にはもっと大きく減った可能性もあったのではないでしょうか(図表4参照)。
米国からの円高圧力警戒などから週末には一時145円割れ
ただこのような米ドル/円の急騰は月曜日で早々に一巡すると、その後は下落に転じ、金曜日には一時145円割れとなるなど、「米中サプライズ」で米ドル/円急騰が始まったほぼ元の水準まで戻るところとなりました。これは、株高が落ち着いたこと、そして金利差拡大の追随もなかったことから、投機筋の円売りも一服したことが一因と考えられます。
それに加えて、関税交渉で米国が相手国に通貨高を求める可能性があるといった思惑が浮上、それが円買いをもたらした面もあったようです。水曜日に、米韓が財務相代理会談を行い為替について協議したといった一部報道がきっかけになったようです。
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