持ち家率低下と賃貸リスクの二重苦
収入の低さは、住宅事情にも暗い影を落としています。
氷河期世代の持ち家率は50〜60%にとどまり、バブル期に比べて約10%も低下しています。
持ち家がない場合、老後も賃貸住宅に住み続けることになりますが、年金だけで家賃を払い続けるのは非常に困難です。首都圏の賃料は高騰しており、URや公営住宅を利用しても、月額家賃10万円未満の物件は限られています。
さらに、孤独死リスクを懸念する大家が高齢者の入居を嫌がる傾向もあり、70代、80代で賃貸契約を結ぶハードルは年々上がっています。身寄りのない高齢者にとっては、住まいの確保すら容易ではない時代が到来しているのです。
今からできる適切な「備え」とは
厳しい現実を前にしても、私たちは諦めるわけにはいきません。今からできる備えについて、4つの柱を紹介します。
まず第一に、生活費の見直しが重要です。毎月1万円でもよいので、支出を削減し、老後資金に充てる習慣をつけましょう。無理のない範囲で積み立てを行えば、20年後には大きな備えとなります。
次に、資産運用への挑戦です。NISAを活用した長期投資により、少額からでも資産形成が可能です。45歳からでも遅くはありません。月1万円の積立でも、20年間で約1,000万円の資産形成が見込めます。
3つ目は、地方移住の検討です。家賃や生活費が高い都市部を離れ、地方で安定した生活基盤を築くことも一つの選択肢です。地方ではコミュニティとのつながりも得やすく、老後の孤立リスクも軽減できます。
最後に、60代以降の収入確保に向けた準備です。副業やスキルアップ、国家資格の取得などに今から取り組むことで、定年後も安定収入を得る道を切り開きましょう。リスキリング(再教育)を通じて、新たなキャリアを築くことが求められています。
今から行動すれば、老後は変えられる
就職氷河期世代は、歴史的にも非常に厳しいスタートを切った世代です。しかし、今から適切な備えをすることで、老後の不安を大幅に軽減することは可能です。
「自分はまだ大丈夫だろう」と油断することなく、生活費の見直し、資産形成、副業の準備、地方移住など、できることから一歩ずつ始めていきましょう。
未来を変える鍵は、今この瞬間の行動にあります。この記事をきっかけに、ぜひ今日から老後への準備をスタートしてください。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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