今回は、銀行の属性評価を下げない「PL」の説明方法を見ていきます。※本連載では、株式会社ライフラリ代表・大河原雄剛氏の著書、『はじめの一歩を踏み出す一冊 ふつうのサラリーマンがもっとハッピーになる不動産投資の授業』(廣済堂出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資物件を増やし、スケールメリットを享受するためのメソッドを実例とともに紹介します。

年収だけではなく保有資産も含まれる「属性評価」

銀行融資の基本は担保評価ですから、買いたい物件の担保評価がきちんとしているかどうかということになります。ですから、建物よりも土地評価額の割合が大きい物件のほうが有利になる傾向があります。

 

もう一つ、銀行は物件の担保評価を見るだけでなく、その人の属性を見ます。

 

たとえば最初の物件から4年後に次の物件を買おうとしたとき、4年間で給与が大幅アップして属性が上がっているケースは少ないと思います。ただ、この4年間の不動産投資によって資産が増えていたとしたらどうでしょう。

 

そうです、年収だけでなく保有資産もその人の立派な属性評価になるんですね。

 

融資の審査で銀行から求められる書類がいくつかありますが、サラリーマンの場合は源泉徴収票または確定申告書の提出を3期分程度求められます。

 

すでに不動産投資を始めている方の場合、年収などの属性はもちろんですが、その人が不動産投資でどういう収支になっていて、どれくらいの資産があるのかが推定できるわけですね。

 

つまり、銀行は決算書でお馴染みのPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)がどうなっているのかを気にするわけです。

税法上の不動産所得は赤字だが・・・

私がよく買う築古物件のケースで説明しましょう。まずはPLです。

 

3000万円で購入した築22年の木造築古物件で、建物価格が2000万円、土地価格が1000万円だったとします。

 

年間の家賃収入は360万円、返済は240万円、ランニングコストは60万円とします。

 

すると、4時間目で説明した減価償却を利用すると、建物が4年で償却できますから、年500万円が費用として所得から控除できることになります。すると、最初の4年間のPLは、

 

①収入360万円

②コスト60万円

③返済利息分50万円

④減価償却500万円

⑤不動産所得=①-②-③-④=▲250万円

 

となり、税法上の不動産所得は250万円の赤字になります。

 

損益通算と言って、これを給与所得(給与収入-給与所得控除)と合算すると、たとえば年収が700万円の人なら通算すると260万円の所得となり、確定申告によって約20万円のお金が戻ってくる(還付)計算になります。

 

さらに、住民税が25万円ほど安くなるので、合計45万円。これを4年間節税すれば180万円。所得が減少するので銀行からの属性評価が低くなると思うかもしれませんが、減価償却での赤字を説明することで、銀行も評価してくれます。できる担当者は、最初からそのように見てくれます。

 

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