今回は、不動産投資のキャッシュフローに影響を与える「長期ローン」について見ていきます。※本連載では、株式会社ライフラリ代表・大河原雄剛氏の著書、『はじめの一歩を踏み出す一冊 ふつうのサラリーマンがもっとハッピーになる不動産投資の授業』(廣済堂出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資物件を増やし、スケールメリットを享受するためのメソッドを実例とともに紹介します。

返済総額が増えるほど「いいね!」が増える!?

不動産投資の融資期間において、多くの人がこれはOK、これはNGと思うところをグラフにしてみると、面白いことが分かります(下図表参照)。

 

【図表】 キャッシュフローは収入と違う

 

期間ゼロ、つまりは現金で買うのは、実際には金利ゼロで即全額返済しているのと同じなので、初年度の収支は大きなマイナスなのですが、これはなぜかOK。すべて自己資金で借り入れゼロだからOKということだと思います。

 

そこから融資期間が増えていくと10年くらいまではキャッシュアウトの状態になるのでNG、そこから先は期間が長くなればなるほどキャッシュフローがどんどん増えていくのでOK度が増していきます。

 

言い方を換えれば、返済総額が増えるほど「いいね!」が増えるということ。よく考えれば、これはおかしな話なんですね。

できるだけ余裕を持たせたい「キャッシュフロー」

では、不動産投資をする大半の人たち、あるいは大半の本が「キャッシュフロー命」を金科玉条のごとく掲げるのはなぜでしょうか?

 

それは、収入に対して返済の割合が低いと、安全度が増すからなんですね。キャッシュアウトになって返済が苦しくなることが起こりにくいということです。

 

保険と同じだと考えれば分かりやすいと思います。保険は保障(補償)内容を充実させ、安全度が増せば増すほど保険料が高くなります。融資の場合も、安全性への対価として返済総額が高くなるわけですね。

 

ただし、長期ローンはキャッシュフローが出やすいので安全度が高くなったように見えますが、それはあくまでも融資に対する安全度であり、ロングスパンでとらえた不動産投資全体の安全度が高まったわけではありません。

 

それだけ返済総額は大きくなっているわけですから、長期で見ると、先ほど言ったように安全だとは言い切れない。20年、30年の間には建物が老朽化してきますし、社会状況も変わります。今と同じ状況が続くわけではない。

 

ですから、キャッシュフローはできるだけ貯めておき、不測の事態に備える必要があるということです。

はじめの一歩を踏み出す一冊 ふつうのサラリーマンがもっとハッピーになる不動産投資の授業

はじめの一歩を踏み出す一冊 ふつうのサラリーマンがもっとハッピーになる不動産投資の授業

大河原 雄剛

廣済堂出版

サラリーマン大家さんを応援する不動産投資コンサルティング会社を経営する著者が、知識も資金もない普通のサラリーマンが多額の融資を受け、不動産投資でもっとハッピーな人生を選択する方法を伝授。 安全かつ大胆な一歩を踏…

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