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経営者が会社を売却したいと考える背景とは?
経営者が自身の会社や事業を売却したいと考える理由は、一見シンプルに見えて、実は非常に複雑です。よく挙げられる理由としては、後継者不在、経営不振、将来への不安などがありますが、それらの背景には、より個人的かつ感情的な事情が潜んでいます。
たとえば、長年会社を経営してきた社長が60代、70代、あるいは80代になり、「そろそろ引退したい」「これまで頑張ってきた分、余生はゆっくり過ごしたい」と思うのは自然な流れです。しかし、そうした本音を周囲に打ち明けるのは容易ではありません。社員の手前、「会社を手放したい」と公言することにためらいがあるのが実情です。
このように、事業承継の相談に乗る際には、経営者の「引退願望」やその背後にある「感情」にしっかりと寄り添う姿勢が非常に重要です。
なぜ後継者不在が深刻な問題になるのか?
現在、日本の中小企業の多くが、後継者不在という問題に直面しています。これは単に「息子や社員に継がせたくない」といった感情面の理由だけではありません。会社経営には高度な専門性と責任が求められ、そのプレッシャーに耐えられる人材が限られていることも大きな要因です。
「従業員に任せればいい」と簡単にいえるものではありません。社長という立場は、会社の命運を握る重大なポジションであり、引き継ぐには本人の意欲と能力、そして周囲からの信頼が不可欠です。
また、承継候補者がいないまま時間だけが経過してしまい、突然の体調悪化や入院などによって「事業承継倒産」が発生するリスクもあります。現場での業務に追われ、将来の備えができない経営者ほど、このようなリスクに晒されやすいのです。
引退後の「セカンドライフ」を描けない経営者は決断できない
経営者が会社を手放すことに踏み切れないもう一つの理由は、「引退後に何をするのか」が明確でないことにあります。つまり、人生の次のステージが見えないため、踏ん切りがつかないのです。
たとえば「自分は仕事しかしてこなかった」「会社を手放したら何も残らない」という思いがある場合、どれほど事業承継やM&Aの必要性を訴えたとしても、本人の心が動きません。
そこで重要になるのが、「セカンドライフ」の具体的なビジョンを提示することです。「世界一周クルーズに出てみませんか?」「ハワイに移住してのんびり過ごしませんか?」といった提案によって、「引退=終わり」ではなく、「引退=新たな人生のスタート」として捉えてもらうことがポイントです。
事業承継を支援する側が担うべき役割とは?
M&Aや事業承継の支援に携わる者が果たすべき役割は、単なる仲介や手続き代行にとどまりません。むしろ、経営者が抱える悩みや葛藤に寄り添い、人生相談に応じる「伴走者」としての役割が求められています。
現実には、多くの仲介会社が「すでに売却を決意している顕在層」をターゲットにマーケティングを行っています。しかし、実際には売却を検討している経営者の多くは、「決断に至っていない潜在層」です。この層に対してアプローチし、心の整理を手伝いながら信頼関係を築くことこそが、最終的に契約につながる最も有効な手段なのです。
「売りませんか?」といった直接的なセールスよりも、「もし引退するなら、どんな人生にしたいですか?」という問いかけの方が、経営者の心に響くのです。
感情→行動→結果という流れを理解する
M&Aや事業承継を成功に導くためには、経営者の行動を促すことが必要です。そして、その行動の前提には、経営者の感情的な納得や決意があります。これを「感情→行動→結果」という流れで捉えることが重要です。
この「感情」の部分を動かすことこそ、支援者の本質的な役割であり、企業価値を高める起点でもあります。どれほど手続きがスムーズに進んでも、経営者の気持ちが整っていなければ、最終的な取引には至らないのです。
「売却後の人生」まで見据えたアドバイスが求められる時代
もはや、M&Aは単なる「会社を売る」ための手段ではありません。経営者の人生そのものをどう設計していくかという視点が求められています。たとえば「これまで譲渡された経営者が、その後どう過ごしているか」を共有することで、未来に希望を持ってもらうことが可能になります。
最近では、売却後にベンチャー投資を始める人、コンサルタントとしてセカンドキャリアを築く人、あるいは海外移住を選ぶ人も増えています。このような事例を紹介することで、経営者が自分の将来を具体的に想像できるようになり、その想像が「決断」につながるのです。
事業承継支援に必要なのは「心のケア」
事業承継やM&Aの実務そのものは、ある程度の専門知識があれば誰にでも対応可能です。しかし、経営者の「決断」を引き出すことは、知識やスキルだけではできません。
経営者が抱える孤独、不安、迷い、そして新たな人生への期待。こうした感情に丁寧に向き合い、「一緒に考えてくれる存在」として伴走することが、成功するM&A支援の本質であり、最大の価値でもあります。
これからの時代、真に必要とされるのは「専門家」ではなく、「人生相談ができるアドバイザー」なのかもしれません。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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