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なぜ、長期投資が注目されているのか?
投資と聞くと、「ギャンブルのようなもの」と捉える方も少なくありません。しかし、長期投資は短期の利益を狙う投機的な行為とはまったく異なります。
特につみたてNISAや新NISAといった制度は、「長期・積み立て・分散投資」を前提として設計されており、時間を味方につけて資産を形成していくための理想的な手段です。
さらに、政府も国民の資産形成を支援する目的でNISA制度の拡充を進めており、これを活用しない手はありません。投資初心者でも始めやすい仕組みとなっている今こそ、スタートする絶好のタイミングだといえるでしょう。
資産運用で陥りがちな3つの誤解とは?
1.「今は株価が高すぎる。もう遅いのでは?」
「今は株価が過去最高水準だから、ここからは下がるのではないか」という不安を抱く人は少なくありません。しかし、これは長年繰り返されてきた典型的な投資心理のわなです。
たとえば1984年、1997年、2014年、2024年と、アメリカのS&P500は何度も「過去最高値」を更新してきました。そのたびに「もう遅い」「暴落が来るかも」といった声が上がりましたが、結果としてS&P500は右肩上がりの成長を続けてきました。
短期的には下落する場面もありますが、重要なのは「今が高いか安いか」ではなく、「今からコツコツ積み立てを続けること」です。一時的に下がっても、その後の成長が損失を補い、資産を押し上げてくれます。
2.「円高になったら為替損が出るのでは?」
為替相場の変動を気にしすぎると、なかなか投資に踏み出せません。特にドル建ての海外資産に投資する際、「今は円安だから、将来円高になったら損するのでは?」と不安を抱く方も多いでしょう。
しかし、為替の変動は長期的には投資リターンに大きな影響を与えないと考えられています。
実際、1985年のプラザ合意以降、円高は進行しましたが、それ以上のペースでS&P500は株価を上昇させてきました。過去100年以上にわたって、S&P500は年平均7%以上のリターンを記録しています。
長期積立投資を行えば、為替の一時的な変動に一喜一憂する必要はありません。長い目で見て投資を継続することで、通貨の変動よりも企業の成長による利益の方が大きくなります。さらに、為替の動きは経済成長の一環として調整されるものであり、仮に円高が進行しても企業の競争力や技術革新によって株価の成長が続くことは十分あり得ます。ですから、「為替が不利だからやめておこう」というのは非常にもったいない判断です。
3.「個別株で一攫千金を狙いたい!」
最近では、NVIDIAやGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などのハイテク銘柄の急騰を見て、「この波に乗れば大もうけできるかも」と期待する人も増えています。
確かに、過去10年間でNVIDIAの株価は年平均34%も上昇し、夢のようなリターンを生んだことは事実です。しかし、このような成功例はごくまれな例外であり、再現性が低いことを忘れてはなりません。
さらに、すでに人気を集めている銘柄はすでに多くの投資家に買われており、株価が高値圏にあることが多いため、今後のリターンは限定的です。
1989年には、日本の大手金融機関や証券会社が時価総額ランキングの上位を占めていましたが、現在ではその座をアメリカのIT企業が奪っています。
つまり、今人気の銘柄が10年後も主役であるとは限らないのです。
インデックスファンドのように幅広く分散された投資先を選ぶことで、こうした「時代の波」に左右されず、安定的な成長を目指すことができます。
成功する長期投資の原則とは?
◆株価は企業の「純資産の成長」に比例する
企業の株価は、将来得られる利益の期待値や現在の財務状況に基づいて評価されます。特に、貸借対照表における純資産の増加は、株価上昇の重要な要因です。
たとえば、設立時に純資産100億円だった企業が、毎年黒字を続けて1,000億円まで増やせば、その株価も10倍になるのは自然な流れです。企業が黒字を出し続け、内部留保を積み上げる限り、株価は長期的に上昇していくというのが基本です。
◆短期的な値動きは「ノイズ」と捉える
「安く買って高く売る」という短期売買は、いわばギャンブルに近い行為です。市場の動きを正確に読み切るのは、プロでも至難の業です。
だからこそ、短期の株価や為替の変動に惑わされず、シンプルに積み立てを継続する姿勢が、資産形成の最大のポイントなのです。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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