(※写真はイメージです/PIXTA)

業務上の横領事件は度々ニュースで報じられることもあり、経営者にとっては決して他人事ではありません。「1円でも多く回収したい」と思うものの、高額な被害であればあるほど、本当にお金は戻ってくるのか、と心配になるでしょう。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、会社のお金を横領された場合の対応について、細井 大輔弁護士が解説します。

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被害は10年間で約5,000万円

相談者は会社を経営しています。先日、経理担当だった社員(懲戒解雇済)が10年間にわたり約5,000万円を横領していたことが発覚しました。相談者は弁護士に依頼し、弁護士同席のもと、経理担当だった社員から事情聴取を行いました。

 

本人は横領した事実を認めていますが、横領したお金をなにに使ったかなどは一切話さず、「お金はない」の一点張りで開き直っています。

 

刑事手続きを進めるため、相談者は弁護士と一緒に警察に3回ほど行きましたが、すべて現金で横領されているため「証拠不十分のため捜査中」との回答しか得られていない状況です。相談者としては、できるだけ早期の解決を望んでおり、横領されたお金を少しでも回収したいと思っています。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

(1)刑事手続を進めてもらうためには、どのような証拠を集めるべきか。

(2)並行して民事上の損害賠償を請求することは適切か。

(3)今後同様の被害を防止するために、会社として何をすべきか。

どのように証拠を集めるべきか?~証拠収集の工夫~

横領事件について刑事手続きを進めるためには、刑事告訴や被害届の提出が必要となりますが、そのためには適切な証拠の収集が不可欠です。ただし、今回のように長期間(10年)にわたる横領の場合、証拠の散逸や証拠収集に膨大な労力と時間を要するため、途中で断念してしまうケースも少なくありません。

 

そこでまず重要なのは、すべての期間を対象とするのではなく、横領の事実が明確に裏付けられる一部の期間に絞って告訴することを検討することです。特に、金額や手口が明らかで、証拠が比較的容易に集められる期間を選定し、焦点を絞ることで、刑事手続をスムーズに進めることが可能となります。

 

また、横領事件には必ず一定の「メカニズム」や「手口」が存在します。どのように資金を引き出したのか、帳簿上どのように処理されていたのかといった一連の流れを明確に把握し、図解やフローチャートなどを用いて可視化することも非常に有効です。捜査機関にとって理解しやすい形で横領の全体像を示すことが、事件の解明と立件の鍵となります。

 

もちろん、経営者としては被害を受けたすべての期間や金額について責任追及を望むのが自然です。しかし、現実的には捜査機関に対して理解しやすく、かつ確実に立件可能な内容に絞ったうえで告訴する方が、最終的な解決に結びつきやすいといえるでしょう。

 

 

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