介護施設への入居は事前の綿密なシミュレーションが必要
まず、介護施設に入る際にはどのくらいの費用がかかるのかといった情報を確認するのはもちろんのこと、利用できる補助制度はないかなどを調べ、入居者本人の年金額で入れる施設を選ぶことが大前提です。
年金だけでは足りない場合は、家の売却や貯金の切り崩しなど、他に資金を調達できる方法も考える必要があるでしょう。
仕送りも、家計に余裕があればこそできることであって、子どもにまだお金がかかるうちは予想外の出費が新たに発生することも考えておかなければなりません。
一樹さんの失敗は、仕送りありきで介護度による費用の違いも確認せず、とにかくすぐに入れる民間の介護施設に母親を入れたことです。
もちろん親のため何とかしたいと思う気持ちは分かります。しかし、自身の老後資金や子どもの教育費といった避けられない出費を犠牲にしてまで続けるのは、長期的に見て不可能です。
結局、施設に入れることありきで行動を起こしてしまったため、仕送りの負担増という想定外の事態が発生することになってしまったのです。また、その結果、やっと慣れた施設からの転居という母親への精神的負担も生じる結果になってしまいました。
ずっと施設に入ってもらうほうが安心ということであれば、家の売却を母親に提案する方法もあったでしょう。もちろん十分に母と話し合ったうえで決めるべきですが、売却により資金ができれば、そのまま民間の施設に入居し続けることも可能だったかもしれません。
介護施設は入居者(親)の資産の範囲内で探す
介護施設を探す際には、目先の安心感だけで決めず、費用や将来の変化も見据えた慎重な判断が欠かせません。子どもの教育費や自分自身の老後資金など、避けられない支出を圧迫しないよう、親の年金や資産で無理なく賄える範囲でプランを立てることが重要です。
高齢化社会が進む中、介護の問題はもはや他人事ではありません。一樹さんのように下調べが不十分なまま行動してしまい、「これでよかったのか」と後悔しないためにも、親が元気なうちから介護が必要になった場合の対応について話し合い、介護施設の情報収集をするなど、いざというときに備えておくと安心です。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
