夫との老後生活に感じる息苦しさ…68歳・専業主婦の悩み
「私の人生ってなんなのだろう……」
浅岡文子さん(68歳/仮名)は、最近ふと、そんな言葉をこぼすことがあります。
文子さんは大学卒業後、自営業だった実家の仕事を手伝い、お見合いで結婚しました。一方、夫の忍さん(71歳/仮名)は大学卒業後、中小企業で60歳まで勤務。その後は65歳まで関連企業で働きました。
夫の最高年収は600万円程度で、趣味も交友関係もほとんど持たずに生きてきた、「真面目一筋」の夫です。
夫婦2人分の年金収入は月21万円。不足分は、退職金と合わせて2,000万円ほどの貯金を切り崩しながら生活しています。金銭的に大きな心配や不満はないものの、文子さんはその日々に「息苦しさ」を感じずにはいられないと言います。
退職してから「家でじっとしているだけ」の夫
その原因は、夫の「何もしなさすぎる」日常にあります。真面目に働き、会社を休むこともほとんどなかった人ですが、定年退職後はほぼ1日中家にいるようになりました。
最初のうちは掃除などを手伝っていたものの、文子さんの手際の良さに遠慮したのか、今ではゴミ出し以外ほとんど何もせず、ただじっとしているだけ。テレビを観るか近所を散歩するか、あとは病院に行って帰ってくるだけ。
文子さん自身はもともと地域のヨガサークルに参加していたこともあり、時には友人と映画を観に行ったり、お茶をしたりすることもありました。しかし、夫が自分の外出を心よく思っていないことが態度でわかるため、その回数も徐々に減っていきました。
結局、文子さんの外出もスーパーへの買い物や日用品の調達、病院通いなど、近場に限られています。一人娘は独身で年に数回会う程度で、文子さんの話し相手にはなってくれません。
朝起きて、朝食を作り、家事をして、昼食・夕食・入浴という決まりきった流れで毎日が過ぎていく――。
ただ、いきなりこの状況になったのかといえば、そうでもありません。若い時には会社の付き合いで帰りが遅くなることがたまにあった夫ですが、60歳で関連企業に移ってからは会社の飲み会もほぼなく、定時に退社して帰ってくる毎日。
退職が近づくにつれ、「このまま完全に家にいるようになったら、夫の存在がストレスになるかもしれない……」と考えていた文子さんの不安は、見事的中したのです。
自分の人生、こんな風に終わっていくのか。そう空しい気持ちが日々募るばかり。そして、気づけば文子さんの心は、完全に夫から離れていたのです。
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