年金暮らしを支える「同居の息子」という存在
美保さん(67歳)は夫を数年前に亡くし、月14万円ほどの年金暮らしです。固定資産税や光熱費、医療費などを考えると、決して余裕のある生活ではありません。
そんな美保さんと同居するのが、39歳の息子、幸一さん(会社員、年収500万円)。毎月5万円を生活費として家に入れ、一緒に買い物に行ったり、家の掃除や自分でできる限りの修繕なども引き受けてくれます。
夫を失った後の生活で、幸一さんの存在は単なる「子ども」というよりも、「生活を共に支える大事な家族」になっています。美保さんにとって、息子が実家に住んでいることは不安要素ではなく、むしろ安心材料です。
しかし、外から見えるのは「40歳近くになっても結婚せずに実家暮らし」という表面的な事実だけ。幸一さんが果たしている役割や美保さんへの貢献は、正しく評価されないこともあります。
周囲の何気ない一言に、静かな怒り
問題となったのは、親戚が集まったお正月。美保さんの家の食卓で投げかけられた、こんな言葉でした。
「幸一くんは、まだ結婚しないの? いつまでここにいるの?」
「ダメよ、いつまでもお母さんに甘えてちゃ、一人前になれないわよ」
発言したのは、すでに子どもが独立・結婚している美保さんの姉や妹たちです。お酒も入り、悪気があったわけではないのでしょう。しかし、その言葉には「結婚していないことは問題」「未婚の息子を抱える親は不幸」という前提が透けて見えました。
その場にいた息子のいたたまれない表情。「未婚=未熟」「親の負担」という一方的な見方を押し付けられることに、美保さんは強い理不尽さを覚えました。しかし、正月早々、場の空気を悪くしたくもありません。
「何も大変じゃないわよ、助かってるもの」
そう笑顔で返しながら、内心はふつふつと怒りでいっぱいに。いったい誰に迷惑をかけているというのか……。心の中で思わずこう叫びました。
「――余計なお世話です!」
