「私は幸せなおばあちゃん」のはずが…〈年金月23万円〉65歳主婦、娘一家と二世帯同居を始めるも、ひたすら後悔。“孫と暮らす老後”で失った「大切なもの」【CFPの助言】

「私は幸せなおばあちゃん」のはずが…〈年金月23万円〉65歳主婦、娘一家と二世帯同居を始めるも、ひたすら後悔。“孫と暮らす老後”で失った「大切なもの」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

孫と一緒に暮らせたら、毎日がもっと明るくなるはず――。娘夫婦の「マイホームを持ちたい」という夢を叶えることも考えて建てた二帯住宅が、年金暮らしの和子さん夫婦を“逃げ場のない暮らし”へと追い込んでいきます。今回はトータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、同居の落とし穴や家族全員が心地よく暮らすための工夫について解説します。

マイホームを欲しがる娘のため、母が提案した「二世帯住宅」

小林和子さん(65歳)と夫の正夫さん(68歳)は、月23万円の年金収入で慎ましく暮らしています。夫婦2人だけの生活は静かで淡々としたものでしたが、不満があったわけではありません。

 

2人には、ひとり娘の美咲さん(34歳)がいます。美咲さんは会社員の夫(36歳)と結婚し、6歳と3歳の子どもを育てる4人家族。同じ市内の賃貸マンションで暮らしており、一家が休日に遊びに来てくれるのが、和子さんにとっては何よりの楽しみでした。

 

美咲さん夫婦の世帯年収は約780万円。「そろそろマイホームが欲しいけれど、子育てにお金もかかるし、ローンを抱えるのが不安で……」。そんな悩みを、和子さんは何度も聞いていました。

 

そこで和子さんは、夫と娘夫婦にこう提案しました。


「いっそ、うちを建て替えて二世帯住宅にしたらどうかしら。新しく土地代がかからない分、美咲たちの負担も軽くなるでしょう?」

孫と暮らせるなんて…「私は幸せなおばあちゃん」

二世帯住宅といっても、その形はさまざま。話し合いの結果、小林家が選んだのは、玄関と台所、水回りなどを共用し、居室のみを分けた「一部共用型」の二世帯住宅でした。建物をコンパクトにでき、設備も最小限で済むため、建築費を抑えられる。現実的な落としどころだったのです。

 

子育ての手伝いもしやすく、コストにも無理がない。和子さんはもちろん、美咲さん夫婦も戸建てに住めること・将来的には自分たちの住まいになることもあり、不満をいうことはなかったといいます。

 

建て替え費用は、和子さん夫婦が貯蓄から1,000万円を負担。残りの3,800万円を、美咲さん夫婦が35年ローンで借り入れました。

 

「孫がいればにぎやかで楽しいわ。三世代みんなで暮らせるなんて、私は幸せなおばあちゃんね」


そう思いながら、新しい生活が始まったのです。

 

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