富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
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「株価の短期予測はほぼ不可能」だと知る
株価の短期的な動きを予想するのは、よほど才能のある人でなければ困難でしょう。値下がりを予想するプロが売り注文を、値上がりを予想するプロが買い注文を出し、両者が均衡しているのが現在の株価だからです。
別の見方をすれば、投資家が値上がりを予想すると買い注文を出すので実際に値上がりするわけですが、「明日の投資家が値上がりを予想するか否か」を予想するのは無理でしょう。
とはいえ、株式投資の期待値は「カジノより高い」
したがって、株の短期売買をするのは、カジノでルーレットに興じるのと似たようなものです。大切な老後資金等で短期売買をするのはお薦めできません。カジノに老後資金を持参する人はいないでしょうから。
ただ、カジノより期待値が高い(儲かる確率が高い)ので、バクチが好きな人が小遣いで楽しむには株の短期売買は悪くないと思います。
カジノとの大きな違いは、手数料です。ルーレットは38の選択肢から1個選んで当たると36倍になりますから、胴元の手数料率は5%強でしょう。それと比べれば、証券会社の手数料など安いものです。
もうひとつ、カジノは強欲な人が集まりますが、株式市場は臆病(慎重)な人が集まります。上がる確率と下がる確率が五分五分ならば買わない、という人が多いので、上がる確率が5割強という銘柄を買うことが可能かもしれないのです。
「高値掴み」と「狼狽売り」に要注意
投資初心者は、株価が上がり続けていると「急いで買わないと儲けのチャンスが逃げてしまう」と焦って一気に買い、結果として高値掴みになる場合が多いので、要注意です。上がり続けているときはPERやPBRが割高になっている場合も多いでしょうから、買うにしても少しずつ淡々と買うほうが無難でしょう。
それ以上に注意すべきなのは、株価暴落時に狼狽売りをしない、ということです。株価が暴落するときは、プロが売り、初心者が狼狽売りをした段階で売る人が残っていないので、株価が底を打ち、スルスルと戻る場合も多いのです。
狼狽売りをしたくなったら、過去数十年分の平均株価の推移のグラフを見ましょう。過去に何度も暴落を繰り返していることがわかりますから、「過去の暴落時は、待っていれば株価が戻った。今回だけ違うと考える根拠は特にない」と考えましょう。
もっとも、個別株の場合は、暴落したら「損切り」をすべき場合も多いので、売りも要検討です。平均株価は市場の雰囲気で動く場合も多いですが、個別株の場合はその会社に対する投資家の評価が悪化して暴落する場合が多いからです。いずれにしても、暴落で気が動転しているときに意思決定をすべきではないので、深呼吸して冷静になってからくれぐれも慎重に判断しましょう。
「いまから投資をはじめるとして、その株を買いますか?」
投資初心者に多いのが、買った値段にこだわることです。「1,000円で買った株が800円に値下がりしたのですが、どうすればよいですか?」「500円で買った株が800円に値上がりしたのですが、どうすればよいですか?」といった質問を受けることがありますが、筆者の答えは単純で「いまから投資をはじめるとして、その株を買いますか?」です。
「その株が値上がりしそうなら持っていましょう」でもよいのですが、その株以上に値上がりしそうな株があるなら、売って乗り換えるべきですから。
投資初心者には、値下がりすると「損を確定したくない」といって塩漬けにし、値上がりすると「値下がりする前に利益を確定したい」と売る、という人も多いといわれていますが、何円で買ったとしても、買ったときに払った金が戻るわけではありませんから、買った値段のことは忘れて自分が一番金持ちになれる選択肢を探しましょう。
筆者は、「毎朝持ち株を全部売る」ことにしています。もちろん、売買手数料がかかりますから、自分の頭のなかで売ったことにするだけですが、それによって「売ると損が確定してしまう」等々の邪念から解放されるのです。
プロが参加しない「小型株市場」が狙い目なワケ
株式市場はプロとアマが対等に闘う場ですが、実際には小型株の売買にプロが参加することは稀です。小型株は、大口の注文を出すと値段が大きく動いてしまう場合が多いので、大口の注文を出しづらいからです。プロは銘柄選択にコストをかけているので、小口の売り買いではコストが回収しづらいのです。
そこで、小型株市場であればアマチュア同士で闘えることになります。大型株市場よりは楽でしょう。
それから、多くの投資家が知らない情報を得られる可能性もあります。たとえば、上場している地元のレストランチェーンについて、「最近混んでいる」という情報は限られた人にしか知られていないでしょう。そういう株を買えば、次の決算発表のときに株価が急騰するかもしれません。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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