深まる高齢者と現役世代間の溝
この制度の導入によって、もう一つ変わったことがあります。それは、保険料の支払いを巡って利害が対立する「高齢者VS現役世代」という対立軸を先鋭化してしまったことです。1963年制定の、あの老人福祉法第2条の条文を思い出してください。
かつての日本人の誰もが持っていたはずの、高齢者に対する敬愛の念は、もう永久に失われてしまったのでしょうか。もしそうだとすれば、今、日本の医療が崩壊しかけているのと同時に、日本の文化や日本人の美学まで崩壊しかけているといえるのかもしれません。
原口 兼明
医療法人 原口耳鼻咽喉科 院長
医学博士
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