(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化や人口の都市一極集中など、高度成長期以降の社会変化に伴って、近年はさまざまな制度に問題が生じています。医療制度もまた、例外ではありません。耳鼻咽喉科医の原口兼明氏は、医師の働き方改革は地域医療に大きな影響を与え、近く日本に医療崩壊が起こる可能性を指摘します。本記事では原口医師の著書『医療崩壊前夜』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集し、詳しく解説します。

医師は東京へ一極集中。深刻化する医療の地域格差

医師の働き方改革が2024年4月から開始しました。(※)改革の効果を検証するには時期尚早ではありますが、今回の改革に対する私の見方は懐疑的です。事実、医師の働き方改革による影響は、「地域医療の機能不全」という形ですでに現れ始めているからです。

 

医師の数に関していえば、わが国には二つの大きな問題が存在しています。一つは、医師の数が絶対的に足りないこと、そしてもう一つが、地域によって偏在していることです。

 

高度成長期以降、わが国の人口は基本的に地方から都市部へと流入し続けており、特に東京圏への一極集中が議論の的になってきました。医師という職業を選択した人についても例外ではありません。

 

また、都市部の医療機関のほうが患者の数が多く、医療機材や検査体制も充実しているため、臨床の現場で出会う症例も多種多様であり、医師としてもそれだけ豊富な経験を積むことができ、キャリア形成に有利といえます。そういう意味でも、医師にとっては地方より都市部、小さな診療所よりも規模の大きな大学病院のほうが魅力的なのです。

 

こうした事情から、わが国の医療界では、都市部と地方における医師の偏在が解決すべき課題として長年にわたり問題視されてきました。特に過疎の地域では医師不足が深刻であり、医療を受けたくても受けられない医療難民の発生するリスクが高まっています。

 

(※)医師の働き方改革|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/ishi-hatarakikata_34355.html

 

8/23(土)THE GOLD ONLINE フェス2025 SUMMER 連動企画
「THE GOLD ONLINE 川柳コンテスト」作品募集!

※募集期間:6月1日~8月13日

次ページ大学病院と地域病院の関係

本連載は、原口兼明氏の著書、『医療崩壊前夜』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋・再編集したものです。

医療崩壊前夜

医療崩壊前夜

原口 兼明

幻冬舎メディアコンサルティング

崩壊寸前、日本医療の現実 ベテラン医師が切り込む!医療費削減政策の問題点とは? 日本の医療崩壊を防ぐために、いまなにをすべきか? 1961年に導入された国民皆保険制度によって、すべての国民は必要な時に必要な医療…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録