後期高齢者医療制度は医療費抑制に効果があったのか
【図表3】は、後期高齢者医療制度が導入された2008年前後の、国民医療費の推移を表したグラフです。これを見ると、国民医療費全体に対する後期高齢者医療費の割合は2008年で32.8%と前年比マイナスになっています。しかし2009年以降は、金額ベースでも、全体に占める割合でも前年比プラスがずっと続いています。
「この制度を導入したからこそ、この程度の伸びで抑えられているのだ」ともいえますが、例えば2016年は国民医療費全体は前年比マイナスになっているのに、後期高齢者医療費は逆に増えていて、抑制効果が十分に働いているとはいえません。
一方、この新制度導入によって、明らかにプラスの効果が出ていることもあります。それが、組合健保の財政状況です。
【図表4】は、大手企業の被用者保険組合である組合健保の財産保有状況の推移を表したグラフです。これを見ると、後期高齢者医療制度がスタートした2008年から数年間は積立金の額を減らしていますが、2014年度以降はプラスに転じ、2018年度までで、すでに2008年時点での金額を超えています。
先ほどの国民医療費・後期高齢者医療費のグラフと比較してもらえばよく分かりますが、国民医療費も後期高齢者医療費も年々増加しており、例えば国民健康保険などは財政面で相当厳しくなっていると予想されるのに、組合健保は逆に財産を増やしています。
そうだとすれば、後期高齢者医療制度の導入は、少なくとも組合健保、大企業、経済界にとっては流動資産拡大につながっているので、「大いにプラス効果があった」と評価できます。これだけの財源があるなら、高齢者医療費の補塡にもう少し回してくれてもよいのではと思います。
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション

