資産クラスの「相関係数」に基づいた分散投資の効果

前回は、投資信託の「よくある誤解」について取り上げました。今回は、資産クラスの「相関係数」に基づいた分散投資の効果について見ていきます。

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投資対象を一つに絞ると価格変動リスクに対応できない

分散効果を得るには、どのような投資手法をとればいいのでしょうか。それを探るために、逆にどうすると「負けやすい」のかを考えてみましょう。

 

その答えは簡単で、一つの投資対象に絞って投資をすることです。

 

例えば、すべての資金を日本企業のA社の株式につぎ込むと、A社の株価が上昇すれば資産が増えますが、下落すると資産が減ってしまいます。

 

では、資金を二分してA社とB社、2社の株式に分けて投資した場合を考えてみましょう。A社・B社の株価がともに上昇すれば資産が増えます。A社が下がっても、B社が上がれば、A社の損失をB社の利益で相殺できるでしょう。ただ株式相場全体が悪化しているような場面ではA社・B社の株がともに値下がりすることも想定できます。

 

そこで、資金を株式に限定せず国債といった他の資産クラス(投資対象となる資産の種類のこと)にも分散すること、投資先を日本に限定せず、海外の資産クラスにも投資することを思いついたとします。株式が値下がりしている時に、国債が値上がりすればトータルでバランスが取れます。

 

 

このように複数の資産クラスに投資をしてリスクを抑えることを「分散投資」と呼び、分散すればするほどリスク低減効果が大きくなります。

「相関係数」を考慮のうえ、資産を分散する

ただし注意しなければならないのは、それぞれの資産クラスの価格変動の相関度合いと価格変動の大きさを理解した上で資産配分を決定しないと分散効果が得られにくいということです。「分散投資しているのに大きく損してしまった」という相談をよく受けますが、こういった方々はたいていこの点を理解せずに投資されています。

 

相関度合いとは金融の専門用語では「相関係数」と呼ばれ、異なる2つの資産クラスの価格の動きの関係性を数値化したものです。ある資産クラスの価格が上昇(下落)する時、もう1つの資産クラスの価格がどのような動きになるのかを確認するわけです。実際には過去3年など、価格変動の実績値を使って算出しますが、この相関係数は最大値がプラス1.0、最小値がマイナス1.0です。

 

例えば、資産クラスAとBの過去3年間の日々の価格変動の相関係数が1.0とすると、この2つの資産クラスは価格の上昇と下落が変動の率は異なっても方向は全く同じだったことを示しています。一方、マイナス1.0であったとすると、一方の価格が上がった時に常にもう一方は下落していたというわけです。

 

相関の低い資産クラスをそれぞれのリスクの影響度と考慮して組み合わせると期待される収益率は変わらずに価格変動特性を安定させることができます。これを我々は「分散マジック」と呼んでいますが、我々だけでなく世界のプロの投資家はこの効果を最大限高めることを目標に運用を行っていると言っても過言ではないでしょう。

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社 代表取締役社長

1964年、東京都に生まれる。
学習院大学法学部を卒業後、山一證券、山之内製薬(現・アステラス製薬)での勤務を経て、 2000年にピクテ投信投資顧問株式会社に入社し、2011年に代表取締役社長に就任。
いかなる経済危機に直面しても長期的な資産保全を可能にする「負けない運用」を信念とし、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド、ピクテ・インカム・コレクション・ファンド、ピクテ・メジャー・プレイヤーズ・ファンド、ユーロ・セレクト・インカムなどを開発。積極的にセミナーも開催。

著者紹介

連載ピクテ式投資のセオリー「資産の全体設計」の構築ノウハウ

本連載は、2016年10月31日刊行の書籍『211年の歴史が生んだピクテ式投資セオリー 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

211年の歴史が生んだ ピクテ式投資セオリー

211年の歴史が生んだ ピクテ式投資セオリー

萩野 琢英

幻冬舎メディアコンサルティング

インフレ経済に転換しつつある今、預貯金では資産を守れない──「投資マインドが低い」「元本保証の預貯金で資産価値を守る」傾向にあった日本人も、今こそ投資によって賢く資産を運用しなければなりません。 本書では、あ…

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