前回は、「お金のタマゴ」の図における「欲張らない投資」のメリットについて取り上げました。今回は、投資信託のメリットとされる分散投資の「よくある誤解」を見ていきます。

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プロが運用するから、投資信託はリスクが低い!?

日本人が投資信託を購入する理由として大きいのは、プロが運用するからうまくいくだろうという期待と、投資信託であれば個別株式投資とは異なり、損をするリスクが低いだろうという期待ではないでしょうか。

 

たしかに、一般に説明される通り、投資信託の魅力は「投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品」であることです。そしてメリットとして「投資信託は小口のお金を集めて一つの大きな資金として運用するので、様々な資産に分散投資し、リスクを軽減することが可能になります」といった説明もよく聞かれます。

 

たしかにその通りではあるのですが、気になるのは「様々な資産に分散投資」という部分です。

資産を限定した投資信託は、分散投資の効果も限られる

例えば、投資対象を「世界優良株式」とした投資信託は、世界の優良企業の株式に分散投資していることは間違いないのですが、株式以外は投資対象としていません。

 

 

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それはその投資信託の方針に従った行為なので全く問題ないのですが、リーマン・ショック時のような世界同時株安に見舞われれば、投資信託であっても大きく価格を下げることになります。

 

たしかに投資信託を1本買うことで、個人で株式投資をするよりも多くの銘柄に分散投資していることになります。しかし、それが株式やリートなど、一つの資産だけに投資する投資信託であれば、分散投資の効果も限られることを理解していなければなりません。

 

では1本だけでなく複数の投資信託を保有していれば安心かというと、それも違います。世界優良株投信と日本株投信を両方保有していても、同じ株式ですから同じような動きをすることも多く、複数本を持つことによる分散効果はあまりありません。

 

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本連載は、2016年10月31日刊行の書籍『211年の歴史が生んだピクテ式投資セオリー 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

211年の歴史が生んだ ピクテ式投資セオリー

211年の歴史が生んだ ピクテ式投資セオリー

萩野 琢英

幻冬舎メディアコンサルティング

インフレ経済に転換しつつある今、預貯金では資産を守れない──「投資マインドが低い」「元本保証の預貯金で資産価値を守る」傾向にあった日本人も、今こそ投資によって賢く資産を運用しなければなりません。 本書では、あ…

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