(画像はイメージです/PIXTA)

M&A(企業の合併・買収)の目的は、単なる事業拡大や競合排除にとどまりません。真の狙いは、「企業価値の向上」にあります。本記事では、FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が、M&A(企業の合併・買収)における譲り受け側=買い手の目的について詳しく解説します。

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M&Aの目的に「正解」はない?しかし一番大切な視点とは

M&A(企業の合併・買収)と一口に言っても、その目的はさまざまです。状況に応じて以下のようにさまざまな理由が挙げられます。

 

·競合排除のため

·新規事業への進出

·人材の確保

·経営の多角化

 

しかし、「M&Aの最も重要な目的は何か?」と問われたなら、それはやはり企業価値の向上に尽きるでしょう。

 

実際、経営の現場では、「企業価値を高めるためのM&Aかどうか?」という視点が買収判断の大前提となっています。

キーワードは「将来のキャッシュフロー」

では、「企業価値」とは一体何を指すのでしょうか。

 

簡単に言えば、将来その企業がどれだけキャッシュ(現金)を生み出せるかという稼ぐ力を意味します。

 

「利益の最大化」と混同されることがありますが、会計上の利益はあくまで帳簿上の数字に過ぎず、企業の本当の価値を正確に表しているとは限りません。

 

そこで、実務ではキャッシュフロー(現金の流れ)に着目するのです。

企業は「現金製造マシン」である

企業というのは言い換えれば「現金を生み出すマシーン」です。

 

どれだけ多くのキャッシュを、どれだけ長期間にわたって安定的に生み出せるか。それが企業価値の本質です。

 

大阪人の名言になぞらえるなら、「稼いでなんぼ」ということです。

なぜM&Aでプレミアムを支払うのか?

M&Aの際、買収価格はしばしば市場価格よりも高く(プレミアム付きで)設定されます。

 

たとえば、1株1,000円の企業を1,300円で買収するというようなケースです。なぜ、わざわざ高いお金を払って企業を買うのでしょうか。

 

それは、経営権を手に入れ、自ら企業価値を高めることができると信じているからです。

経営者目線が未来を変える

企業を買収して経営権を得ると、自らの意思決定によって収益性を高めることができます。

 

買収前には実現できなかった利益を、自分たちの経営手腕で引き出すことができると信じているからこそ、プレミアムを支払うのです。この自信がある企業ほど、高いプレミアムを提示して買収に乗り出す傾向にあります。

 

最近話題となった某コンビニチェーンの買収劇でも、この点が大きな議論の焦点となりました。

企業価値を高める2つの方法とは?

企業価値を高める手段は、大きく分けて次の2つです。

 

1.売上を増やすこと

2.コストを削減すること

 

この基本的な指標が、企業のキャッシュフローに直結します。つまり、いかにしてお金を「より多く」「効率的に」生み出すかが問われるのです。

 

ここで登場するのが、シナジー効果(相乗効果)です。

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